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白狼と猟犬 第二十八話

「あまり力むなよ?」


 突然天井からエコー掛かって聞こえたウィンストンの声に驚き、思い切り引き金を握ってしまった。


 あのバッッカクソ脳筋、音声で指示を出せるなら先に言え!


 銃の狙いは飛び上がった拍子にずれてしまった。しかし、多少ブレただけで自分の方には飛んでこないから大丈夫なはずだ。銃身も前を向けていたし、トンデモナイ方向に飛んでいく可能性はない。


 しかし、驚いて引き金を握ってしまったが、フリントロック式ならもうすでに弾が飛び出しているはずのタイミングなのに何も出てこない。


 不発かと思い銃身を下げようとした瞬間、銃身の先端から赤い光の弾が射出された。

 私は再び驚いてしまった。発射のときに銃はパチンともカチンとも言わず、そして何よりも驚いたことがあった。


 なんだこれは!? 反動が無……


 その驚きを言葉にして頭の中で反芻するよりも早く、的の十フィートほど手前に光の弾は落ちた。そして、着弾と同時に影がかすむほどの閃光を放ったのだ。


 目の前が暗くなったのかと思うほど遮光の強いオレンジのゴーグル越しでもまぶしいと思うほどの光に驚き、咄嗟に手で顔を押さえようとしたが、銃を下ろすまもなく窓の無い訓練場の内部をこちらに向かって突進してくる爆風に飲み込まれて後方に大きく吹っ飛ばされた。

 背中に衝撃が走ると布の何かに大きく飲み込まれた。壁に掛けてあったマットに衝突したようだ。どれほど強い衝撃で吹っ飛ばされたのか、軟らかいマットにぶつかることにさえ痛みを感じるほどだった。


 何のためのマットかと思っていたが、吹っ飛ばされるのは織り込み済みだったようだ。


 しばらくひっくり返ったままでいると、射撃場の床に金属の何かが落ちて転がる音がした。それがぐわんぐわんと鳴り、その音は早くなり、そしてやがて止まった後、射撃場は静まりかえった。


 衝撃で大きく揺れて明滅していた照明が元通りになり建屋の中を照らすと、上がった煙を吸い込んだスプリンクラーが作動して水を大量にまき散らし始めた。


 マットに埋もれていた私はその場に座り直し、ほとんど外れていたゴーグルとイヤーマフを外し、水で濡れて前に落ちてきた髪を掻き上げた。


 いつの間にか手から離れ、落ちていた魔法射出式銃は銃口をこちらに真っ直ぐ向けている。これで暴発したら私は木っ端みじんだ。恐怖を感じつつも、安全装置が自動で良かった。

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