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エレミットとグーリヒア 第十話’

推敲しているときに書き足していたところ、文字数が大幅に増えてしまいましたので分割しました。

サブタイトルは順次正しく変更していきます。

 それから再会は意外にも早かった。


 指令が難民エルフ死亡の捜査からイングマール領への潜入に変更になり、密偵を行うことになった。そのさなかに再会を果たすことになったのだ。


 二回目の遭遇について、報告はした。北部にレジスタンスが形成されつつあると。だが、一番伝えるべきであるはずのカルル閣下の存在については報告しなかった。彼の目指しているという差別がなくなる世界はいいものではないか。可能性は見いだしておきたい。

 そのときには、私は既にこの男に何かを期待し、そちらへと傾いていたのだ。


 以降もまるで導かれているかのように北部関連の指令が続いた。その次の指令がレジスタンスに潜入せよというものだったのだ。

 これまでは浮浪者のふりで通すことが出来たが、今度はレジスタンスという核心に迫るものであり安易に潜入することは不可能だと思った。そこで私は、スヴェンニーの大秘法の結晶であるブルゼイ・ストリカザと共和国製チャリントン三年式二十二口径拳銃という人間側にとっては未知の最新兵器を渡し、なおかつ自らの立場を明らかにして潜入することにした。

 普通なら立場を――しかも、連盟政府の聖なる虹の橋(イリスとビフレスト)であることを明かすなど自殺行為に等しい。だが、私は閣下に限ってはその方がかえって軍に迎え入れようとするだろうと考えたからだ。

 案の定、私はあっさりと迎え入れられた。上佐という決して低くない地位と閣下の側近という立場まで与えられた。

 もはや潜入とは言えないかもしれない。だが、自らの行いが寝返りだと言うつもりも毛頭無い。


 槍を北公に入り込む為に、つまり連盟政府の為に手放したように聞こえるかもしれない。マゼルソン長官には申し訳がないが、ラド・デル・マルであれだけのことがあった。ユニオンでの組成の解析は暗礁に乗り上げたも等しい。


 だが、任務を放棄したわけではいない。


 槍は明らかに削られており、どこかへ流出した形跡があった。それが出来るのはスヴェンニーだけであり、いずれどこかのスヴェンニーによって解析される。既にされている可能性もある。共和国から持ち出された後に槍と接触したスヴェンニーは多くないので、その数少ない接触者から探し出せば良い。


 そして何よりも、北部のレジスタンスは優秀でやや偏った思考の錬金術師が多いスヴェンニーの集団だ。技術力やモチベーションは高いが資金面・資材面において、加えて戦時下という状況で、進捗は前後はするもやがては解析し終える。それを持ち出せば良い。


 モンタンとして共和国から与えられている指示は解析結果を持ち出すことであり、その手段についての指示はない。つまり、まだ“奇跡の錫”計画は継続中なのだ。

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