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アトラスたちの責務 第六十七話

「では、戦争を起こしたのは誰だ? 神か、金か? 違うな。欲深い人間たちが自らの欲を満たす為に起こしたのだ。私はアトラス、それを支える者。煽る者ではない。起こしたというのなら、それも支えるだけだ。いうなれば、チェス盤を支えるテーブルだ。

確かに、それで私たちは富を得る。だが、自分だけが富を得たいわけではない。絶えず強い流れを生み出すのが、私たちの役目。強い流れが起きていれば、誰もがそれを手にするチャンスを得る。逆も然り。幸せでない者が人を幸せにすることが出来ないのと同様に、富める者こそが人を豊かに出来る。それこそが人類・エルフの恒久的発展への鍵なのだ」


「もっと他に! 他になかったのですか!?」


「ないな。君がいうその戦争を、誰かが選び、始め、そして止めようというのなら私は何も言わない。起ころうとも起こらざるとも、止めようとも煽ろうとも、やがて金融は我々ヴィトー金融協会が牛耳る」


「私が否定したいのは、ヴィトー金融協会の覇権獲得ではありません! 私は賢くありません。ですが、これでもヴィトー金融協会の頭取の娘です。私たちが覇権獲得して世界が大きく回り発展するなら、喜んで受け容れます! ですが、戦争は、戦争だけは絶対に止めなければいけません! そのために私たちのような実行部隊である101支部があるのではないのですか!」


「101部門は実行部隊ではない。金融協会の攻撃力を持った守り手だ。しかし、今回執った行動は守りではなく攻めだ。私たち協会が攻撃をするのは打撃でもってではなく、金融を持ってしかしない。しかし、こちらに攻めてくる者は打撃力を持ってして攻めてくる。そのための守護者が101部門なのだ」


「ならば、これから起こる戦いに巻き込まれて犠牲になるかもしれない行員たちを守る為に、止めなければいけません! 打撃を持って攻めてくる者は見境無く、私たちを攻撃してきます!」


「カミーユ。一度落ち着きなさい。声を荒げているばかりで、君が何をしたいのか分からない」


「私はこれから起こる戦い、もはや戦争と言って差し支えないそれを止めなければいけないのです!」


「ほう、ならば止めるといい。私は一向に構わん」と父上は言った。

だが、そう言った後に父上は、脳裏に焼き付き、生涯を通じて忘れることの出来ないような言葉を放ったのだ。


「止めたいというなら、なんと言ったかあの青年、イズミと言ったかな。彼に頼めばいいではないか。イズミという平和主義者に」



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