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アトラスたちの責務 第五十九話

「ほう、脅しか。やってみたまえ。だが、貴様らはこのところ失策ばかりだな。その強硬手段も失策に陥るだろうな。

しかし、よもや商会にはここまで金融手腕が無いとは思わなかった。個人としての側面が強く出すぎて、ミクロな扱いは得意でも国家規模のマクロなものになると途端に総崩れになったな。国内の金融を担ったことで手が回らなくなったのはよく分かる。いくら何でも後手に回りすぎだ」


「ロジェ、あなたは何も分かっていない。ここで商会との取引を断ってしまえば大変なことになってしまいますよ。それが分からないほどあなたは愚かではないはずと私は信じております」


父上はもはや呼び捨てにされたことなど気にもしていない。


「そうだな。では、帰りたまえ。君を殺して首だけを送り返すなど、前時代的も甚だしい。そもそも時間の無駄だ。私は今日、最初から取引などしないと言うのを伝える為だけに、君との面会を了承したのだ。本来ならそれも時間の無駄だ。だが、何故こうして応じたのか。それは商会はこの世界と、人間・エルフ共栄圏というこれからの世界を支えるに値するアトラスではなくなったということを思い知らせる為だ。

仮に後からイサク・ベッテルハイムがこちらに来て、穴を掘り、そこに頭を埋めてまで誠心誠意下げても無駄なことだ。

ああ、なんと言ったかな。もはや名前などどうでも良いか。さっさと帰り、イサク・ベッテルハイムに旨を伝えるといい。天と大地を掌から落としたアトラスと取引するつもりは毛頭無い、とな」


「それは残念。では交渉決裂ということですね」


ラビノビッツはにっこり笑った。まるでまだ切り札があるかのような不気味な笑みだった。

「あ、そうそう」とわざとらしく何かを思い出したような仕草を見せて大声を上げると、レアの方へ振り向いた。顎を引いて笑い出すと「レア・ベッテルハイム」と名前を呼び語りかけ始めた。



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