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アトラスたちの責務 第四十話

座っていたシスター・マンディアルグに詰め寄るになり上から覆い被さるように強く言うと、シスター・マンディアルグは恐れおののいた表情を向けて小刻みに頷いた。何が何でも帰さなければいけない、それが伝わったようだ。

帰すべきではないのかもしれない。だが、この人には幼い子どもがいる。母親が長期にいないというのは精神的にトラウマになってしまう。

いや、それ以前の問題がある。まだ首も据わっているか否かのあの幼い子が一人で留守番など出来るわけもない。世話をしている者が必ずいるのだ。


「ディアーヌちゃんは今どこにいますか?」


「ペルス・ネージュ修道院の他のシスターが面倒見てくれています。皆優しい方です。孤児たちを集めて面倒を見ています。最近孤児が行方不明になる事件が相次いでいるので、きっちり見守ってくれているはずですよ」


やはり関係者に任せている。まずい。人質に取られる。


「そのシスターたちにあなたの行き先は伝えてありますか?」


「いえ。ユニオンの修道院の様子をこっそり見に行っていると伝えてあります」と首を左右に振った。

ユニオンに入っていることは伝わってしまっているようだ。だが、ここに来るには密入国する以外に方法はない。

連盟政府は教導総攬院(ドゥチェンス)が実権を握り、宗教活動のための出国についてはあえて管理をしていないと聞く。一方では入国に関してはかなり厳しく制限されている。

記録されない出国であり、移動魔法で送り返してしまえば入国時に行われる厳しい検査を通らないので、秘密が守られるかもしれない。


「あなたが金融協会本部ビルに顔を出したことを知っているのは、父上と私だけなのですね?」


そのシスターたちが金銭についてどういう考え方をしているかは分からない。だが、ディアーヌちゃんはまだ大丈夫である可能性はほんの僅かだが高くなった。

しかし、時間の問題だ。他の幹部たちにシスター・マンディアルグが協会本部に来たことが伝わってしまえば、連盟政府の内部の者が修道院に行きディアーヌちゃんを誘拐するかもしれない。

だが、幹部がわざわざ動くとは思えない。

だから、もし実行するとすれば――聖なる虹の橋(イリスとビフレスト)だろう。



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