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アトラスたちの責務 第三十二話

融資した数日後――利子が付くよりも早く――にはそれ以上の額がミラモンテス氏の口座に戻り、そこから銀行へと還る。ミラモンテス氏はコマースギルド代表なだけあり、口座の金額が大きくとも注目されることはまずないのだ。

いくつもの万単位の取引記録の列の一つに「ヘンサイ」と書き込まれるだけなのだ。

融資した金額はそれによって回収され、年単位ではなく日数単位(早いときは数時間単位)での返還のため、焦げ付いたことはないからだ。


ミラモンテス氏とメイドたちの口座の一括管理と言うこともあり、私はその出納記録を閲覧することができる。


メイドたちの出納記録によれば、市長暗殺事件の前あたり、つまりミラモンテス氏の秘書として採用された頃は細々とした記録、それこそメイドたちが自分の生活の為に引き出しては入れてと言う程度の記録しかなかった。

だが、ひとつきほど経過すると支出の方が多くなっていった。程なくして、ミラモンテス氏から融資の指示が出たのだ。


最初に融資の指示を出されたときはミラモンテス氏が直接オフィスに顔を出した。しかし、全てが急すぎて何が何だか分からなかった。

依頼者がミラモンテス氏ということで信頼と実績は確かにあるので、融資をすることに疑問は抱かなかった。だが、「一本」の意味が何なのか分からずに尋ね返すと「頭取の娘なのにそんなのも分からないの? ジョン・ゴールドって誰?」と渋い顔をされた。それから教えることもなく「伝えたからね」と言うと帰ってしまったのだ。

その後にオフィスに来た融資を受けることになった秘書メイド自身から何がどういう金額であるかを教えてもらった。ルードとユニオンルードは同じ紙幣ではあるが、レギナは金額の単位を言うときはユニオンルードとは言わず、あえてルードと言っていた。必ず現金での手渡しのみだけで、口座への振り込みはしないでくれということだ。


基本的にヴィトー金融協会の口座は秘密口座だ。ルカス大統領に開示を求められても明らかにすることは出来ない。(大統領の公開している口座の他に、秘密口座があり絶対秘密として扱っている)。それでも開示せよという場合、被開示者だけでなく開示請求者の関係機関を含んだ全ての口座内容を公開しなければいけないので、まず開示を求める者はいない。



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