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アトラスたちの責務 第二十九話

私は軍部省に立ち寄り、コードネーム“ビスコッチ”と名付けられた例の不明武器の調査報告書を受け取り、早めの飛行機に乗り帰路に就く――予定だった。


ユリナは書類を受け取りに来ただけの私を正面玄関で仁王立ちしながら待ち構えており、その後有無を言わさずフラメッシュ大尉の車に押し込んでギンスブルグの邸宅に連行し、一家団欒に付き合わせた。

(「お前もマリークに会いたいンだろう!? あいつの思春期を強烈にビンビン刺激してやれ! 母親が許す! oh,yes! 二次性徴! すね毛ワキ毛は大人の階段!」と凄まれて無抵抗になったことは言わない)。


結局帰りは遅くなり、予定していた飛行機には乗ることが出来なかった。そこでユリナは移動魔法でラド・デル・マルまでのポータルを開くと言い出した。条約については良いのかと尋ねたが、監視しているのは私らなんだから関係ないと言って送ってくれた。


だが、幸か不幸か、私の乗ろうとしていた飛行機がラド・デル・マル南西海域上空で着陸態勢に入った直後にキューディラの回線が切れて消息を絶ったのだ。


乗客名簿には私の名前が載っていて一時行方不明という扱いになっていたのだ。

私がキャンセルを出したのは搭乗受付終了時間の五分前だった。食事中にそわそわしていた私を見た酔っ払ったユリナが受話器から伸びたケーブルを指や腕に巻き付けながら空港とヴィトー金融協会の事務に直接電話をかけていた。

しかし、公式発表よりも遙かに早くマリナ・ジャーナルに空港関係者を語る匿名の者からカミーユ・ヴィトーが行方不明と連絡が入り、マリナ・ジャーナルから事実確認の為に金融協会の事務に問い合わせがあったのだ。


民間の旅客機でこれまで起きたことのない事態だったが、ユニオンと共和国の事故調査では事件性は低いとみられている。だが、何かとても嫌なものを感じた。


予め連絡が入っていたので父上は私のことを心配する様子もなく、報告を受けていた。

グルヴェイグ指令のターゲットについての報告をしても淡々とした表情であることに変わりは無かった。


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