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アトラスたちの責務 第二十二話

「早速ですが、造幣機械が共和国から連盟政府へ流出したことの事実確認にお伺い致しました。以前、こちらの金融省長官から内密に連絡があったとロジェ・ヴィトー頭取から伺っております」


シローク氏は執務机から立ち上がり、ソファの向かいへと来ると頷きながらソファに座った。


「事態が判明次第、至急で連絡をさせてもらった。以前はロジェ・ヴィトー氏の身柄がまだ連盟政府に置かれていたので、私的で非公式なものだった。だが、先頃ラド・デル・マルに本社が移られたそうだな。今回はより具体的な報告が可能だ。資料も用意してある。開示できるものは多くないが極力希望に添おう」


「お願いします」と言うと私も腰掛けた。同時にドアがノックされ秘書が入ってきた。そして、紅茶を二つ置いてすぐに部屋を出て行った。


紅茶の匂いに、目的とはベクトルが違う妙な緊張感が解けるようになったのはシローク氏も同じようだ。楽な姿勢になると「久しぶりだな」と笑顔になった。


「今回、私が指名されたのですが、あの、国外追放処分はどうなったのですか?」


「君も父上同様に連盟政府の籍を抜けただろう。もはや連盟政府の者ではないのだから、取り消しになったのだよ。いつまでも優秀な人材を入国させないわけにはいかないからな」


シローク長官は紅茶に口を付けると「ノザニア地方とイーストン地方の間で採れる茶葉だ。良い香りだがとても強くてクセになる」と勧めてきた。一口飲んだ後にテーブルに置いた。


「君は常軌を逸した行動をとったが、誰かを傷つけようとしての行動ではないというのは息子からよく聞いている。こちらの金融を破綻させようという安易だが厄介な連盟政府の目論見にも否定的で、板挟みになっていたにもかかわらず積極的に明らかにしたことは法執行部もよく分かっている。事情を詳しく知る一保護者一政治家として、私はマリークと金融を守ろうとした行動はむしろ評価したい」


色々と恥ずかしいので「寛大な処置に感謝致します」と短い早口の言葉でしか返事が出来なかった。



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