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鵰の飛翔 第八話

閣下は独立前、優秀な指揮官が揃うまでの最初期の戦いにおいて抜群の指揮と統率力を発揮してきた。元来持ち合わせていた天賦の才であるカリスマも相俟って、それは素晴らしいものだ。しかし、それは地上という二次元平面的な戦闘においてだ。戦闘が三次元的になるとこうも甘くなってしまうのか。ありとあらゆる戦況分析のない、全く新しい戦い方、空という戦場はまだ未知なのだ。

北公の航空戦闘力は、今後飛行機は作られるだろうが些か劣るかもしれない。


「それはそうですが、一つでも使えるという可能性がある場合はその全てが可能と考えるべきです」


閣下はやっと黙った。これほどまで煽る必要はなかったかもしれない。

閣下は理解が早い。これから北公の誰よりも先んじて航空戦闘力について理解するだろう。飛ばすことについてという、航空力学だけを考えるアスプルンド博士よりも先だ。

まだ閣下は航空戦闘を知らない。この時点で航空戦闘力について結論を出すのは早計かもしれない。


「航空戦闘についての話をまだ聞いていなかったな。この場で簡単に教えて貰おうか。まず、上からの攻撃がどのようになるのか想像できない。山の上から大砲が飛んでくるのか?」


「山の上の大砲が放物線ですが、航空機の場合、攻撃は爆弾にしろ魔法にしろ真上から落ちてくるので直線的です。それよりも大砲を山の上まで運ぶ必要がないのです。大砲を山の上に運ぶのに三日かかるとしましょう。飛行機には重量の制限があります。同じ威力の大砲を運ぶのは不可能です。しかし、語弊のある表現ですが、発射装置が無くとも砲弾だけを運び上から落とせばいいのです。

では何が違うのか。それは速さ、正確には機動力です。

飛行機が戦場の上空に飛んでくるまでに、離発着の位置によりますが、半日もかかりません。速さを考えれば飛行機がある方がどれほど有利であるか。

移動力に関しても、それは応用が出来ます」


「こちらが積極的にするとなれば、相手も使ってくるだろう。対策はあるのか?」


「現行では、空に向かって銃を撃つことでしょうね。今我々北公が魔法使いたちに撃っているものを上に向かって撃つしかないでしょう。銃弾であればある程度の高度まで撃ち上がるでしょう。威力は落ちますが、現在の強度なら機体を撃ち抜くほどには充分です。

全魔力型と魔石動力型と全魔石型で対応が異なります。動力源を絶つなら、全魔力型なら操縦者を撃つ。魔石動力型と全魔石型なら魔石搭載部。その他にも共和国型では、まぁ、それはいいでしょう。共和国とやり合うことは無いでしょうし、共和国型をこちらで使いたければ共和国から燃料も買わなければいけないですし。

ですが、相手は素早い。そのように精密に狙うのは無理でしょうね。

過剰に連射するか、追尾する特殊な魔法でもなければ、やはり同じもので対抗する方が効率的でしょうね」


「博士に急がせなくてはならないな」


「私からも進言致します。ですが、博士は気分次第なので、やると言って実際に始めても時間がかかるでしょうね」


「解析と設計図の作成だけを博士に任せろ。それができ次第、すぐに生産にこぎ着ける。博士は優秀だが飛び抜けているだけで、他にも優秀な者はいる。

正直なところを言えば、まだ余裕があると思っていた。無茶を言って急かしておいて、期限を延ばすことに寛容な姿勢を示して改良させたものを作らせようとも思っていたが、そのような余裕はないようだな。状況が悪い方へ転んだ。現在の優勢がいつまで持つか」


「解析と設計図はすぐに出来るでしょう。何れにせよ、博士が改良するにはまず解析が必要ですからね」



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