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秋霖止まず 第三十三話

「世間からは相当叩かれるでしょうが、懸命な判断だと思います。マルタン戦線もノルデンヴィズ南部遠方戦線も芳しくなく市民は保守的な考えに走るので支持率の悪化を気にしすぎるのもよくないでしょう」


「アニエス陛下、申し訳ないが今日の予定は全て変更だ。対策と対応を練る為に緊急会議を設ける。メイドたちも数人呼び寄せて証言して貰いたい。メイドコミュニティの話ともなれば、ユニオン民議会の頭の硬い者たちも耳を傾ける。結論が出次第、メディアを呼んで記者会見だ。マリナ・ジャーナルやザ・ルーアなど主要メディア以外にもペン・ストスリアなど連盟政府に偏っているメディアも呼べ。連盟政府に知らしめてやらねば」


ルカス大統領はテーブルを手で探るようにしてコーヒーカップを持ち上げた。もう冷めているだろうそれを一口つけて落ち着かせようとした。

苦いはずだが、そのおかげすぐに冷静さを取り戻したのだろう。落ち着いた表情になり、


「ふぅやれやれ。イズミ君にも君にもコテンパンにされているな、私は。しかし、君たちは恐ろしい情報網を持っているな。コーヒーをいっぱい貰えるかな。冷めてしまったのでな」


とルカス大統領は右眉を弄り始めた。

近くに使用にはおらず、イルジナがコーヒーをルカス大統領のカップに注いだ。


「ところで、君は、イルジナ、と言ったか」


丁寧にカップに湯気の立つコーヒーが注がれていく。イルジナの仕草を見ながらルカス大統領は彼女に話しかけた。


「シルベストレ家はどうだね? メイドが多くて手が余っているのではないか? あそこはヘマのメンズもいる。そうなるといくら君たちが優秀であっても、いや優秀であるかこそ持て余してしまう。その者たちの生活費を出していては、シルベストレ家にばかり負担がかかる。それは申し訳ない。家族のために(パラ・ラ・ファミーレ)、と言う言葉がユニオンには古くからある。旧来の五大家族は単なる政治的な繋がりではなく、家族という相互扶助の精神から導かれている。家族で仲良くするには、苦労は分散しなければな。

そこでだ。何人か追加でブエナフエンテの家で正式に雇われてみないか? 待遇は他の使用人と分からないが、正規雇用となるので今以上に給料が出すことができる。君たちが正規雇用になれば、使用人の人数が小規模事業になり福利厚生を国に報告する義務が発生する。すると私は被雇用者として充実させなければいけなくなる」



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