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秋霖止まず 第二十七話

会議、会議、また会議。

国の偉い人たちというのはなぜここまで会議が好きなのか。

国家の偉い人というのは国民からせしめた税金の再配分を決めるのが仕事で、話し合うのは当たり前のことなのだが、ここまで執拗に繰り返されるとは。

磨き上げればより輝かせるとは言うが、研磨剤が鈍っては意味が無い。

降り続く秋雨のように会議ばかりだ。確かに、のんびり遊説などしていられる状況ではないのは理解出来る。


その日は爽やかな秋晴れの日だった。

食パンの焼ける匂いと、優しく目を覚ましてくれる嗅ぎ慣れたコーヒーの匂いに誘われて足早に朝食に向かうと、ルカス大統領がダイニングに座ってコーヒーを飲んでいた。

嫌いなわけではないし、贅沢を言える立場ではないのだが、最近はそこで姿を見かけるとうんざりしてしまう。朝食時までも、ルカス大統領と顔を合わせれば会議の話が始まるくらいだからだ。


ダイニングに入るとルカス大統領の首がさっと動いて私を見た。それに「おはようございます」と返した。一緒にダイニングに顔を出したマフレナが椅子を引いてくれたので、腰掛けると早速始まった。


「おはよう。食事中に悪いが、今日の会議での議題について予め聞いておきたいことがある」


ナプキンを広げて膝の上に置きながら「何でしょうか?」と言うと、少々不機嫌な印象になってしまった。


「そろそろ君の法的な処分についてどういう方向性で持っていくかの話し合いが始まるのだよ」


大人げないなと反省しながらも「そうなのですか?」と素っ気ない返事をしてしまった。


「戦争犯罪を問うときは往々にして、敗戦国の指導者各位をつるし上げ、徹底的に悪であるという風に印象づけるように行われるのが一般的だ。

だが、今回は状況が違う。それは君も分かっているだろう。連盟政府やどこかの帝政のように情報が制限されているわけではない。新聞、キューディラ他に特に規制を設けていないユニオンは情報が比較的オープンであり、君の置かれた状況を知る者が民間にも少なくないのだ。慎重に進めなければ反感を買う」


政治のためなのかと、相変わらず素人臭さが残る私のムッとしたものが表情に出てしまったようだ。ルカス大統領は「ああ、もちろん、政権維持の為に反感を買うのを避けなければいけないというだけではない」と付け加えた。

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