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秋霖止まず 第七話

「イズミ君から話を聞いていた。君はそのようなことをするような人間だとは思えない。こうして現に顔を合わせていてもそれはよく分かる。

君が暴君のようなことをしたのは、顧問団たちが言うことを聞かなかったからだろう? 

結局スピーチは全く放送されず、最後に皇帝であると言う宣言と亡命についてだけが放送された。そこまでして自分の地位にすがりつきたかったのか? 確かに、亡命政府が連盟政府に乗っ取られつつあり、それを守ろうとしたのは理解出来るがな」


スピーチが放送されていない? 一体どういうことだ?


イズミさんはキューディラジオのサーバーの電源はつけっぱなしにしていて、切るつもりはないと言っていた。スピーチ終了直前にイズミさんが電源を切っただろうか?

イズミさんなら移動魔法でラド・デル・マルの別宅までのポータルを開けばそれは出来るはずだ。


私自身ではサーバーのあるラド・デル・マルまでのポータルは開けない。だが、キューディラを介してキューディラジオのサーバーにアクセスできるようにイズミさんに設定して貰っていたので、繋ぐことは出来る。

私の記憶が正しければ、スピーチ直前にキューディラで繋いだときには電源は着いていたはずだ。操作ミスで消してしまうことはない。電源に関しての権限は与えられていなかったからだ。


イズミさんに確かめることは出来ないだろうか。

怪我の治療に専念して貰いたいので、すぐに話を聞けないのは気になるが仕方が無い。


私の想像でしかないが、イズミさんがサーバーの電源を消すとは思えない。

宣言が終わる間際に、私を銃撃から庇った。私のいた市庁舎バルコニーに辿り着いたのが、ちょうどスピーチ終了間際だったというのは偶然だとは思えないのだ。

今ルカス大統領がいった、最後の宣言と亡命宣言についてだけが放送されたという事実から、イズミさんはバルコニーの裏手には早めに来ていて、私を庇う直前にサーバーを起動していたのだ。


その後、脱出中にしていた話の中で、私が正式に皇帝であると言う宣言を世界に向けて発信する必要があったとも言っていた。私自身、その宣言をすれば撃たれるという可能性は、ユニオン軍と共和国軍がマルタンで行動中だと言うことを聞いた時点で充分に理解していた。



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