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共和制記念病院にて 第七話

「だが、安心しろ。世界に働きかけてるの、たった一人お前だけってワケじゃねぇんだ。確かに、お前は誰よりも不器用に世界を動かそうとしたヒーローだよ。だが、ヒーローってのは戦術の上でしか成り立たない。戦略を練るってのは相手の裏を掻かなけりゃいけないからあくどさが必要なんだ。タイマン張ってぶっ飛ばせば何でも解決できるような規模の問題じゃ、もうなくなったんだ。ヒーロー精神にあるまじき被害妄想と嗜虐心を滾らせて、コインの裏でも表でもない面を返しながら長い目で未来を見てネチネチ考え込む戦略がものを言うんだよ。だから、これからは私らが何とかする。お前はそこで休んでろ」


「そんなわけにはいかない」


「聞き分けのねぇバカタレだなぁ。クソガキかよ」と白い歯をむき出しにした。


「あんま言いたくなかったが、お前が動くべきじゃねぇってのは、何もそれだけってワケじゃねぇ」


椅子に投げ置かれていたボードを持ち上げた。紙が何枚か挟まれているようだ。

それを二、三枚めくって固定すると、ボードを手渡してきた。受け取らずにユリナの顔と紙を交互に見つめていると、胸元に押しつけられ触れた瞬間に手を離された。

拾うように受け取って見てみると表計算ソフトで作ったような小さなマス目に文字が書かれ、その文字に対応するように横に数値が書かれていた。

どうやら検査結果のようだ。しかし、こちらの検査結果の基準値は全く分からない。

ユリナが横から覗き込むと、「こことここと、それからここ、見ろ」と指を差しそれをなぞるように動かした。指先は全て赤マーカーをされているところを辿っていった。


「これから分かるのは腎臓の機能がだいぶ低下してる。無茶したな。マルタンに行く前から、それよりももっと前からちょいちょち身体が怠いことあっただろ? あのときから腎機能が低下してたんだよ。随分前の話だが、お前が選挙前に喰らった弾丸の成分が悪さしてるみたいだ。タマっころの後ろについてる黄色い合金が割とヤバいそうだ。そこへきて、お前広場のバルコニーでまた銃弾喰らっただろ? あれで腎臓傷つけちまったみたいだな。よく生きてやがるぜ、ホント」



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