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驟雨の幕間 第四話

と、このまま考え続ければ闇墜ちしかねない。闇墜ちなど弩弩弩弩、弩三流のすることだ。

闇墜ちは闇墜ちすれば終わりではないのだ。要するに、維持管理が必要なのだ。

魔王様みたいな存在として、その後も闇の中で世界を絶望に陥れ、それでいて環境は生態系を崩さない程度に壊し過ぎず、人口が極端に減りすぎないように殺し過ぎずで、増やしていく為に最低限より僅か上の状態で維持し続けなければいけない。自分の手で引き起こしたものではない自然災害などからも、被害を予め予測し、環境も住民もある程度守らなけれないけない。


俺自身、闇墜ちした後も悪役テンションを維持してやっていける自信も無い。飽き性で面倒くさがり、それでいて中途半端で厄介な優しさを持つと言われる俺には到底無理な話だ。智略に満ちた魔王になるにはあまりにも間抜けすぎるし、破壊と殺戮の脳筋魔王になるほどの馬力的なパワーも無い。


そもそも、魔王になるほど闇を抱えた存在は元々闇の中で生まれて育つ。

闇墜ちなんてのは、一瞬の破れかぶれだ。その一瞬に絶望して俺は闇だとか喚き散らして周りをちょっと壊した挙げ句、それに後悔して悪役ぶり続けなければいけないなんて、なんとまあシンドイ。


闇墜ちした元英雄。これが守りたかった世界なのか、人間など価値がないと言って悪を振りまいておきながら、その実、内側には、うっわやっちまったー、やっちまってるー、という後悔があり、それは日々増え続ける。だが、後戻りをすることは出来ないから続けるしかない。


そんなんだから、闇落ち系の敵はいつも勇者に負けるんだよ。


ある日、ハンパな優しさ垣間見せて、世界を救いに来たとか言う勇者に剣と魔法でタコ殴りにされる。完膚なきまでにコテンパンにやられて、君は実は光に当たりたかったんだろうとか説教された挙げ句、腕の中で力尽きてピカーッと光って本来の姿に戻って消えていく。


ゆうしゃ**** は まおう*** を たおした !

せかいが ふたたび ひかりに つつまれた !


で? その後はどうするのだ。魔王様が倒されちゃった後だ。


魔王様的な存在がいなくなれば共通の敵という調和が崩れてしまい、遅かれ速かれ、人間同士エルフ同士、人間とエルフで諍いをまた始めるのは間違いない。だから、調和の為には魔王様が必要になるのだ。


では、その世界を一時的にでも調和に導いた絶望的な共通の敵である『魔王様』を、その後誰がするというのだ。共通の敵で維持していこうという考えを基にして魔王様的なことを始めたというのなら、最初の一手が破れかぶれだろうが何だろうが、無責任に放置して光の中に消えていくなど許されるわけもない。人間とエルフの永久の調和の為に、時間の終わりまで魔王をやれ。

調和維持の為に魔王様当番制にでもするのか?

救われたとかいって消えていくなど無責任過ぎるだろう。消えるならせめて責任取ってからにしろ、と思う。もう二度と争いを生まないためとか言って、自分の心臓が止まると同時に一斉に発射される核ミサイルを準備しておくとか。

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