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驟雨の幕間 第一話

白い天井、白シーツに鉄のパイプを曲げたベッド。また病室だ。

毎度の如く俺は病院で目が覚める。まるでどこかのシンジ君だ。


だが、よくある、目を開けたら白い天井を見ている、ことはなかった。

俺はベッドと共に病室に置かれた長い椅子に腰掛けている。


いつからかここに座っていて、はっきり意識が戻った瞬間は分からない。


というよりも、俺はまだ気を失っているのだろう。目線の高さに見えるベッドの上には、俺自身が横たわっているのだから。


幽体離脱か、エクトプラズムか、それとも、ついに死んだのか。

何れにせよ、妙な落ち着きがあった。このまま二度寝のために布団に入るかのようにすれば、横たわる自分の身体に戻れるような気がしているからだ。

よく見れば自発呼吸をしているようで、コンフォーターが上下している。


病室には俺だけだ。ここにいるよく分からない状態の自分と、ベッドでグウグウ眠っている自分。


こうしていても仕方がない。寝ている自分を見ているだけで、今ここにいる自分は眠れていないのだ。意識をここに留めておくくらいなら、眠っている自分に戻って眠りたい。


左右を見回して椅子から立ち上がり、ベッドへと近づいて行った。


上半身が前屈みになりいざベッドの中へと顔を前に突き出すと、顔に何かが当たった。

首を引いて手で確かめてみると、顔の前だけではなく壁のように何かがあるのだ。

つるつるとした透明のアクリル板のようなものがあり、そこから先へは進めなくなっていた。


違和感があり両掌を見てみると、左腕に触覚があることに気がついた。それと同時にこれが幻覚であるとはっきりした。


「これは幻覚だけじゃないわよー」


と背後から呼びかけられて振り返ると、あのもう一人の女神、語尾を伸ばすムカつく話し方をする方が先ほど俺が座っていた椅子に腰掛けて足を組んでいた。膝上に肘を乗せて頬杖を突いている。

振り向いた俺を見ると笑顔になり、頬杖を崩して右手で椅子の空いた場所をトントンと叩いた。座れと言うことなのだろう。


いつもの超空間なのか、臨死体験空間なのか分からないこの場所にこの女神がいると言うことは、ここの支配者は彼女であり絶対だ。抗ったところで何も変わらないので、空いている椅子の場所に座ることにした。


俺が睨みつけながら距離をとって座ると、「私はすっかり悪役ねー」と小首をかしげて口をへの字に曲げた。


「シバサキを操ってる時点で悪役でしかない」


「私はシバサキを操ってなんかいないわよー。力を与えてるだけー」


「なんであんなのに力を与えたんだよ」


「あなた達の性格なんか知ったことじゃないわー。私たちの目的を叶えてくれそうな人なら誰でも良いのよー」


「あんたらの目的は何だよ?」


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