表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1624/1860

裏切りの代価 第五話

「ふざけるなぁぁ! だが、まだ。まだだ! 残念だったな。今頃ギンスブルグの邸宅は私の部下たちが制圧している。この裏切り者が私に屋敷の設計図をくれたおかげで容易だった。息子と娘は人質だ! 旦那の金融省長官も今頃拘束されているはずだ」


机の上に掌を置いて、「で、その部下から連絡は着たか?」と指で叩きコツコツと鳴らした。


「こちらはこちらで忙しい。だが、部下たちは優秀だ。間違いなく拘束している」


鳴らしていた指をピタリと止めて「設計図」と上目遣いで隊長殿を見た。


「なんだ? 抜かりの無い裏切りに衝撃でも受けたか? それとも返して欲しいとでも言うのか?」


「あー、いや。ま、確かに裏切りの間抜けさには衝撃を受けたが。それ誰から貰ったモンだ?」


隊長殿は名前を言おうとして止まり、知らん顔で私の方を向いて休めの姿勢を取っているフラメッシュ大尉を見た。

隊長殿はこめかみが膨らむほどに歯を食いしばり始めて震えだした。


「この期に及んで、私んちの設計図、ホンモノだとまだ思えるのか?」


私はどうやらこの状況に少し飽きてきてしまったようだ。あくびがこみ上げてきてしまった。


「おたくの部下は今頃、全員会議室に閉じ込められてるよ。設計図書き換えて子ども部屋と旦那の部屋をそこにしといたからな」


あくびを堪え、目尻に涙を浮かべながらそう言った。紛らわす為に机に並べていた金属の棒を一つ持ち上げて、高く掲げて外の光りにかざした。


「まぁ、残念なことに、入ったところで誰もいない。マリークは今現地でウチの女中部隊と現地で行動してる。ちょっと色々あって現地に行かせた。運良く、その方が安全だったわけだな。シロークは私の部屋の奥の物置で捜し物してる。私の部屋の物置は特別頑丈で、ウチの庭に迫撃砲が落ちても振動一つ起きない。試したこと無いからわかんないんだがな。シロークは今頃、クーデターごっこがあったなんて知りもしないで、捜し物がないない、私に怒られるーっていいながらもの探ししてるよ。イリーナは友達の錬金術師にベビーシッターして貰ってるから家にはいない」


金属の棒を元の位置に戻した。今度は堪えきれず、思い切りあくびをしてしまった。


「ごめん。なんだっけ? さっきかっこつけて言ってたの。えーと、フラメッシュ大尉はいつから裏切り者か、だったか? そうだな。お前にとっては最初からだ。でも、そもそも裏切り者は一人としていない。なぜなら、お前らがクーデターを起こすように仕組んだ黒幕は何を隠そう、この私だからな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ