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ダムを巡る攻防戦 第九話

走っていると次第に砲撃音や魔法の音が大きくなってきた。それはすぐ側にまで迫ってきていた。ポルッカの治療中に敵方は体制を整えてこちらへ攻撃し始めたようだ。

通り抜けた木々が後方で倒れるような音も聞こえ始めたのだ。


「イズミ! 後方からも攻撃されています!」


「逃げ切るしか無い!」


銃弾や魔法が飛んできているのか、倒木や木が弾ける音がした。だが、それよりも近い位置、ほとんど耳元で「……太陽。日光だ」とかすれた声が聞こえた。それはポルッカの声だった。意識を取り戻したようだ。


「私を太陽に曝せ」


「なんだ? どうしたんだ? どっかの文豪の辞世の句か? もっと光りをってか? 残念だな。黄金捜索の時はよくもやってくれたな。お前は死ねるタイミングを選べると思うなよ?」


イズミがふざけるようにそう言ったが、ポルッカは無視をして「早く私を日光に当てろ」と再び強く言った。

私はレアの言葉を思い出していた。彼女はポルッカの攻撃手段について光りがどうとか言っていた。これまでポルッカは樹上を動かなかった。おそらく日光に確実に当たろうとしていたのだろう。


「日向に出てください!」と言うと、先導していた二人は日向へと向かった。


すると、ポルッカが背中でもぞもぞと動き始めた。

「動いてはいけません。あなたは重傷なのですよ?」


「大丈夫だ。足はお前が止まらなければ、私は止まることはない。右腕は動かない。だが、移動には必要ない。今私に動かせるのは左腕だけ」


そう言うと咳き込み、左腕をゆっくりと伸ばし、後方に向けた。


「おい、姫騎士。地に足をしっかり付けろよ?」


そう言うと同時に視界は白く眩しくなり前方に三人の影が長く伸びた。遅れるように背中に強烈は衝撃が走った。


「これでしばらくは追ってこれまい。ふふふ」


「なんだ!? 何をしたんだ!?」とイズミが後ろを振り返っている。彼は驚いたようになっている。おそらくポルッカは例の魔法で敵ごと森を吹き飛ばしたのだろう。


「おい、ポルッカ! やり過ぎだ! 森は弾き飛ばすな!」


「ボンクラ、指図するな。最初の一撃はこのくらいでいいんだ」と言うと、先ほどよりも小さいが高音といくつも立て始めた。背後の敵たちに撃っているようだ。


「初撃で戦意をそぎ落とす」


ポルッカの攻撃が功を奏したのか、銃弾も魔法も先ほどよりも格段に減っていった。それに合わせるようにダムへの足取りを速めていった。



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