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マルタン芸術広場事件 第三十話

(ラッセェティエン、チェレサーブガフ、チェセッティラ、イフメッサーセブニ、ラッセェティエニ……)


 それからはこれが聞こえた。銃声と魔法のぶつかり合う音の中で微かに聞こえたそれはどこかで聞いたことがあった。


その単語は一巡したのか、再び繰り返し同じ音が流れ始めた。


(25(ラッセェティエン)、64(チェレサーブガフ)、32(チェセッティラ)、87(イフメッサーセブニ)、21(ラッセェティエニ)……)


 同じものが聞こえたそのとき、それはマゼルソン法律省長官をオペラ座で撃ったときに転がり落ちた魔石と同じものであることを思いだしたのだ。

 そして、その内容が数字の羅列であることにも気がついた。

 これは乱数放送だ。


 その瞬間、全てがつながった。

 レヴィアタンはマゼルソン法律省長官と繋がりがある。彼はレヴィアタンに乱数放送で指示を出していたのだ。

 彼が撃たれた直後に言った「皇帝は右手の指が多い。その大きな掌は英雄の助けになろう」というのはレヴィアタンのことなのだ。

 指は全て十本ある。ここで俺を助けた十人のことなのだろう。そして、右手の多い指とはムーバリ、モンタンのことなのだ。


 ならばこの者を死なせてしまうわけにはいかない。

 俺は太ももの付け根をさらに強く縛り付けた。治癒魔法を唱えて簡単な止血をした。動かせばすぐに破けてしまう。だから、俺はソイツを担ぎ上げた。


「絶対に死ぬんじゃねぇぞ! お前ら、無事なヤツらは掩護しろ! 誰一人死なせない! 殺さない!」


 俺はさらに治癒魔法を唱えた。今度は強めにかけた。急速な治癒に痛みが走ったのか、担がれた背中から悲鳴が聞こえた。


「お前らはマゼルソンの部下だろう! モンタンはこれくらいで音を上げなかった! 頑張れ! 生きることを諦めるな!」


 レヴィアタンの者たちは何やら士気が上がったような気がした。俺は治癒魔法を一度止めて、炎熱系の魔方陣を煉り上げた。


「このまま直進する! 俺が魔法で道を開く! 俺はコイツを殺さない! だから、誰一人殺すな!」


 杖先を前に掲げ、炎熱系の魔法を断続的に唱えて火炎放射器のようにして、前方に立ち塞がる者たちへと突進した。

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