闇の共鳴 第二話
私は後方に石の壁を作り上げてそこへ反転魔法を唱えて練り込んだ。
壁を壊そうと放った強烈な魔法を全て反転させ、そこへ撃ち込まれた魔法と衝突し爆発を起こした。その隙に通路から脇に逸れてさらに狭いところへと入った。
「さて、スヴェルフ。私共々連盟政府を裏切ったわけですが?」
「おや、クロエさん、その割りにあなたは余裕が見られますが?」
「あれはシバサキの個人の部隊。彼が裏切ったと喚いても、私は聖なる虹の橋の作戦に基づいて動いていますからね」
「なるほど、あなたは連盟政府ではなく、このワケの分からないヴァンダーフェルケ・オーデンとか言うのを切り離してお考えなのですね」
「無駄話はこれまでです!」
敵は数がやたら多い。すぐに体勢を立て直して後方から迫ってきたのだ。
前方からも何かがやってきた。亡命政府軍だ。大騒ぎと何やら正体不明の軍団が現れて大声を上げて突っ込んできたのでそれに対処する為だ。
前方は連盟政府製の魔力雷管式銃、後方は魔法使いのみ、相性は最悪の組み合わせだ。
使用している銃器は飛距離が短く狙いも悪い上に壊れやすい。だが、数はある。
後方の魔法使いたちは威力はあるが飛距離が短い。攻撃から攻撃までにある詠唱というインターバルが長い。
「引きつけて潰し合わせましょう!」
わざと目立つように、そして強めに魔法を当てれば壊せる程度の石壁を後方のヴァンダーフェルケの連中の前にいくつも作り上げた。彼らはすぐさまそれを壊そうとして魔法を乱射してきた。
その魔法の中には当たりは悪いがやたらと高く飛ぶ魔法もいくつかあり、その一つが石の壁を飛び越えて前方にいた亡命政府軍の目の前に落下しはじけ飛んだ。
バリケードと有刺鉄線の上にいた指揮官らしき男が尻餅をつくや否や、「う、撃ち方始めぇぇ!」と煙の向こうから聞こえた。同時に目の前の石畳がぱちぱちと弾けだした。
まだ距離が届かない。簡易だが物理防御を張り、その弾丸の雨の中へ二人で飛び込んだ。




