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闇の共鳴 第一話

 背後を振り返って確認する余裕はない。だが、先ほどの勢いを考えればイズミさんを市庁舎の内部まで吹き飛ばすことが出来た。

 私とムーバリの動きを見るや、ヴァンダーフェルケの団長は杖を抜き、ノーモーションで火の玉を煉り上げた。

 やはり団長格。動きに無駄が無い。それに続くように後ろに控えていた団員たちも一斉に杖を構えて攻撃態勢に移った。

 ムーバリはしばしば見かけていたあの奇妙な、重くて軽い槍を蹴り上げて、団長たちの方へ投げつけた。それを避けた団長から放たれた魔法は狙いを外し、私の頬をかすめて飛んでいった。

 ムーバリは止まらずに槍をすぐさま持ち上げて、左右に多き薙ぎ払い、扇状に敵たちを吹き飛ばした。


 ムーバリは魔法が使えない。そして体術と槍術を駆使している。魔法使い相手では些か不利だ。

 ここは仕方ない。目的を果たす為ならば。


 石の壁を持ち上げて作り、影に隠れて魔方陣を煉り上げてムーバリに身体強化と魔術耐性をかけた。


「これはどうも!」

「勘違いしないでくださいまし、スヴェルフ! 今はそれが最適解なだけですわ!」


 ムーバリは槍を握り直し、柄の端の方を両手で持つと大きく振り回して勢いを付けて石の壁を思い切り薙いだ。

 石の壁は崩れると大小様々な石の塊になった。槍の勢いは強く、塊をいくつも弾丸のように飛ばした。


 最前線にいた隊員たちはそれに巻き込まれて戦闘不能になったが、後方にいた魔法使いたちは強烈な魔方陣を煉り上げていた。埃が収まると同時にそれを一斉に放ってきたのだ。

 石の壁では耐えきれるほどのない火炎や冷気、それから雷撃がいくつも飛んできた。

 大量の猛攻の前には、強化していたとしても二人では心許なく、避けることで精一杯になってしまった。

 ムーバリが咄嗟に私の前に出て槍で大きく払った。命中弾が飛んできていることに煙で気がつかなかったようだ。払われた火炎は弾かれると地面で大きく弾けた。


「ここは広い! 移動しましょう!」


 煙の隙間から見えた敵部隊が両翼を展開しはじめようとしていた。

 相手は数が多い。対するこちらは二人組である。このまま左右方向へ広がり最終的に囲まれてしまう可能性がある。

 市庁舎の外へ向かう、通路へとあえて入り込むことにしたのだ。


 ムーバリが槍を回転させて煙を全て払い、私も負けじと風を起こして土煙を払いのけたあと、路地を探した。

 右方向に狭すぎず、広すぎない道を見つけることが出来た。


 ここには亡命政府軍もいる。前後で囲まれたとしても亡命政府軍は練度はそこまで高くはない。

 一方のヴァンダーフェルケオーデンは戦闘力は未知数だ。

 報告によれば、戦闘においてはまとまり無く突っ込んでくると言うものを聞いている。指揮を執っていたのがシバサキというのがそれを確かにする。

 だが、これまでの行動と先ほどの攻撃の前後を見る限り、聞いていたほどの連携の無さは感じなかった。

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