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マルタン丘陵での戦い 第十一話

しばらく動きが無い状態が続いたが、ポルッカから連絡が入った。

連盟政府・商会聯合軍が木を切り倒し始めたそうだ。それも分水嶺の連盟政府側ではなくユニオン側の先ほど倒木で道を塞いだ手前のやや平坦な所の森林を切っているそうだ。


「自分たちの方には問題が無いように戦場を作ろうというのだな」


「自分たちの側は切り倒さないというのはおそらく今後のことを考えているのでしょう」


ポルッカは黙り込んだ後、「あそこは、分水嶺よりこちら側はユニオンの領土なんだな?」と確認するように尋ねてきた。


「そうです」と答えると「そうか」と短い返事が返ってきた。返事は短いが何かするつもりと言うのは分かった。

何をする気ですか、と尋ねるよりも早く、ポルッカのいる樹上から黄色い閃光が放たれた。

それは目にもとまらぬ速さで真っ直ぐに飛んでいき、先ほどの倒木を撃ち抜いた。正確無比に撃ち抜かれた倒木は中心で二つに割れ、塞いでいた道を通れるようにしたのだ。


「何をしているんですか!? 道を塞いだ意味が無くなります!」


だが、ポルッカは止まることがなかった。

先ほど前方に逃げた部隊を迎え撃った開けた場所を今度は撃ち始めたのだ。縁の木々を次々と倒し、開けた場所はほとんど広場のようになってしまったのだ。


「止めなさい、ポルッカ!」と呼びかけたが、返事も然る事ながら止まることもなかった。


一通り撃ち抜くと閃光はピタリと止まった。同時に連盟政府側もそれに呼応するように木を切り倒すのを止めたのだ。


「カミーユ・ヴィトー。あなたとはわかり合えそうだが、こちらにもこちらの事情がある。だが、銃器がメインの武器であるならこの方がそちらも戦いやすかろう。ユニオンが戦いにおいてここまで銃器を重視するとは私も予想外ではあった」


「そうでしょうね。敵にも戦いやすいでしょうね。戦火を拡大するつもりですか。いえ、あなた、やはり商会の手勢だったのですか?」


問いかけにポルッカは何も答えなかった。だが、しばらくの沈黙の後にゆっくりと口を開く音がした。


「私はラーヌヤルヴィ家。どこが相手でも裏切り者一族。しばらく戦うんだな。私を拘束するか? 私に付けた優秀な偵察員は私に早速銃を突きつけている。素晴らしい判断だ」


「偵察員二名はそのままポルッカを監視してください。その他の人員は引き続き偵察を」


ポルッカの一撃で巻き上がった土煙が晴れてくると次第に山肌の一部が見えてきた。

そこは完全にはげ上がってしまっていた。


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