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マルタン丘陵での戦い 第六話

「市街戦ではありません。見通しの悪い森の中です。ですが、地の利はこちらにあります。

 引き続きゲリラ戦法で行きましょう。ポルッカさんの部隊は引き続き監視を!

 ユニオン軍大佐殿、戦闘が起きた際に亡命政府軍はどれくらいでこちらへ来ると思いますか?」


「先ほどの倒木にはそちらも気がついたようで戦闘の準備を始めた様です。

 ですが、先ほどから市街地で何かが起きているようで、大規模な爆煙や火花が上がっています。それに伴って多くの亡命政府軍兵士が市街地へ向かいました。残りの兵力は少数です。

 こちらで大規模な戦闘が起きれば気がつかれて、一部の兵が向けられると考えられます。それも時間の問題かと思われます」


 市街地は市民が避難させられて軍隊以外は空のはずだ。何が起きているのだろうか。

 しかし、兵士がこの場から移動してくれたおかげで少ないのは助かった。

 もし、これで亡命政府軍まで攻めてきて挟み撃ちにされていただろう。


「分かりました。では、ユニオン兵は二手に分かれて、一部は亡命政府軍の対処をしてください。残りは私たち101部門と行動してください」


 そう指示を出すと、ユニオン軍の指揮官が兵士を集めて二分した。

 ユニオン軍の戦闘服は、軍が創設されてまだ間もないのでどれも綺麗だ。

 だが、その中でもここに展開している兵士たちは特に新しい。生地も硬そうで動きづらそうだ。肩がぶかぶかだったり、ジョッパーズの下のブーツの紐さえ硬そうだったり、着慣れていない様子がありありと出ている。

 共和国軍から渡されている銃もまだ新品で油の匂いすら漂うほどだ。

 泥が付いたことも無さそうな綺麗で丸い顔にもそばかすが残り、まだあどけなさが残っている若い兵士がほとんどのようだ。


 二分され私たちに付いてくることになった兵士で指揮を執ることになった中佐を呼び寄せた。


「今後もゲリラ戦を行います。ですが、ゲリラ戦自体は私たち協会101部門が行います。

 あなた方ユニオン軍は開けたところで迎撃態勢で待機していてください。森林内部で奇襲を掛け、ある程度殲滅し、逃げ出した兵士をその開けた場所に誘導します。そこで攻撃をしてください。

 相手は魔法使いです。おそらく銃は持っていません。魔法の射程外から銃で撃ってください」


 先ほどの兵士が持っていた小銃は正体が分からない。実弾が込められていたのは間違いない。せめて、銃弾の形状だけでも見ておけばよかったが、倒木に食い込んだそれを探す暇もなかった。今さらだ。

 雷管式なのか魔力射出式なのかのいずれかだ。不確かな情報を与えては混乱を招く。

 敵方が銃を使ってくるのは間違いないが、二組の五人小隊のうち銃を持っていたのは一人だった。まだ銃の有効性には気がついていない。

 初遭遇が森林の中であり、魔法以上に銃が環境的に不利であると思わせたのはありがたい。

 おそらく杖を持たない者が銃を持っている。私たち協会が森の中で銃を持つ敵兵を排除してしまえばいい。


 だが、この期に及んで、自分たちの武装について、相手の武器が不明瞭な事態が発生した場合を考慮していなかった事に気がついた。

 敵が使うのは魔法だけだと決めつけて、それ以外の戦い方を考えていなかったのだ。


「武装はどうなっていますか?」

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