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マルタン芸術広場事件 第七話

先ほどよりも多くの銃弾が飛んできて、石壁の面が一斉にはじけ飛ぶと弾痕だらけになった。そのうちの二、三発は頬や髪をかすめた。

石の壁に背を当て首を覗かせて気配を伺った。

僅かに出した顔を狙ってきているのか、近くの壁が何度も弾けた。


「殺しが出来る兵士が出てきたみたいだな。中心部に近づけばもっと確実になるな」


「あなたもいよいよ誓いを破るときですかね?」


「んなわけあるか!」


遠方から銃で撃つ者が一斉にこちらに向けて発砲し始めた。

いくつもの発砲音の後に、俺とクロエの周りの石畳ははじけて小石を飛ばし砂埃を巻き上げた。

先ほどよりも絶え間のない銃撃がこちらに向かって、そして俺とクロエを確実に狙って飛んできている。姿勢を下げれば当たらないというような銃を持ち始めたばかりの攻撃ではない。

砂煙が上がり視界が遮られると同時に「掩護しろ!」と同時に石の壁から飛び出し、煙越しに氷の塊をいくつも投げ飛ばした。クロエは飛び出した方とは反対側に向かって石の壁をいくつも作り出した。石の壁が弾ける音で銃撃がそちらに向かうのを確かめると同時に石壁よりも頑丈な建物の方へと走り移った。

石壁で出来た陽動はほんの僅かな時間だけだった。足のすぐ後ろの地面がすぐに弾けだしたのだ。

建物の窓ガラスは既に割れており、弾丸を回避する為に転がり込むように建物に入った。カフェなのか飲食店なのか、大きく分厚いテーブルがあった。それら二つを寄せて返して盾にした。


一度銃撃が止んだので、テーブルに後頭部を付けて兵士たちの様子を確認した。


「テーブルに頭を付けてると、テーブルに当たった弾の衝撃で痛い目を見ますよ」とクロエも様子を窺いながら言ったので「うっせーな」と言い返した。


煙が晴れると次第に兵士たちの様子が見えてきた。腰を落として銃を構え、一歩一歩慎重にこちらへ向かってきている。


カフェの店内を見回した。すでに店内は蜂の巣状態だ。吹き込んできている風でテーブルクロスだったものが揺れている。カウンターの奥では瓶が割れている。

裏口は倒れた棚で塞がれてしまっている。魔法で何とか出来るかもしれないが、身体を乗り出さなければいけない。その間に撃たれてしまう。


「ちょっとヤバいんじゃないか?」


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