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マルタン芸術広場事件 第五話

 崩れた壁の影から兵士たちが何発も銃弾を撃ち込んできた。

 相手は寄せ集めだ。ついこの間まで銃を握ったことのない素人なのだろう。

 弾丸は姿勢を落とさなくても上空を飛んでいく。

 しかし、なかなか当たる様子はないが、弾数が多く頬や耳朶をかすめる物もある。

 クロエが顔に向かって飛んでくる弾丸を杖で弾くと火花が散った。跳弾は別の方向から撃ってきていた兵士のヘルメットにぶつかり、再び火花を起こした。

 幸いにも、その兵士はヘルメットが飛んだだけで怪我はしていない様子だ。しかし、 腰が引けてしまったのか、尻餅をついたまま後ずさりをして後方へ逃げていった。


「クロエ、お前は攻撃するな! 防御に徹しろ!」


「ご安心を! あなたと行動している限り、殺しはしませんよ!」


 銃弾はやがて風の強い嵐の雨粒のように飛んできた。しかし、相手方から魔法が飛んでくる気配はない。使ってくる武器は銃だけのようだ。

 物理防御を強烈に掛けてある。一点を連続で撃たれれば貫かれる可能性もあり絶対防御とはいかないが、一発や二発被弾したところで相当痛いだけで済む。

 どこからこれほどの魔力雷管式銃を手に入れたのだろうか。とはいえ、飛んできた弾でどこの製品か分かるほど銃弾に見慣れていない。

 おそらく、共和国から流れてきたのだろう。魔力射出式銃の可能性もある。


 だが、今それを考えている暇はない。


 杖を思い切り地面に打ち付け、地面を持ち上げて壁のような物を作り上げた。

 その隙間から雷鳴系の魔法を撃ち込み続けた。

 撃っては壁を弾いて壊して前に進み、再び石の壁を作り魔法を撃ってはを繰り返した。


 そのうちにこちらに銃が有効では無いと悟ったのか、肉弾戦を仕掛けてきたのだ。


「着け剣!」と年配の男の声がすると、わぁわぁと鬨を上げる声が聞こえた。声が大きくなると兵士の一人が銃を抱えて突っ込んできた。包帯か何かで先端にナイフを無理矢理くくりつけている。

 それを真っ直ぐに突き立ててきた。兵士の足取りは思った以上に速く突きはあっという間に目の前までやってきた。

 突きも素早く、空を切るような音をして頬をかすめた。一度引かれると再び突きを繰り出してきた。それを杖で受け止め、銃に魔力を流し込んだ。すると、ボルトの下辺りにある金属の膨らみが溶け煙を上げた。

 煙に驚いた兵士の腕の力が抜けたので杖でナイフを受け流し、足で腹の辺りを蹴り飛ばした。

 遠くに避けることが出来たが足が大ぶりになると隙が出来てしまった。後方から来ていた別の兵士が銃口を真っ直ぐこちらに向けていた。

 このままでは顔面に被弾してしまう。死にはしないが額に痛みが強くかかれば失神してしまうかもしれない。

 だが、運良く引き金が握られても弾丸は撃ち出されなかった。

 杖から咄嗟に炎を出して虚を突き、両手を前に出して防御しようとした兵士を杖で突いた。

 交差した腕の隙間に入れて顎を打つと兵士は気を失った。そのまま後ろに倒れ込んでいったので、魔法でさらに押し後ろにいた兵士を何人か巻き込んで吹き飛ばした。

 さらに突風を起こして土埃とガラス片を巻き上げて前方に見えていた兵士たちを攪乱した。

魔力雷管式銃は、魔法使いが持つことで起こる魔力相互作用程度では壊れませんが、魔力を狙って直接流し込まれれば壊れます。

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