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叛国の徒、突入に至るまで 第三話

 俺は翌朝陽が昇るよりも先に連盟政府のブリーリゾンに忍び込み、まだ暗いというのに不自然なまでに煙突から熱気を放つ家のドアに張り紙をナイフでおもっくそ刺した。


“クソクソのクソ眼鏡へ。そう言ったものが全てにおいての問題だ。ひっそりとした平和な場所は見つけられない。そんなモノは何処にもないのだから。ヘイゼル・ウェザフィールドより”


 何か小洒落たことを書こうにも、どうも面倒くさく、そもそも伝わらなかったら困るので、ヤツが俺を呼び出したときに使ったものと全く同じ文章を残した。


 そして昼過ぎにノルデンヴィズのアイビーのカフェ(名前は……確かロフ、ロフリなんとーかだったか)に向かい、奥の席に案内して貰いどっかり腰掛けた。


 ブラックのコーヒーをすすりながら十五分ほど待っているとそいつが現れた。

 俺はテーブルにコーヒー代であるいくらかの小銭を置くと、作り笑いの笑顔で手を振りながらこちらに向かって来る女性の足元にポータルを開いて、そいつを落っことした。


 一度ポータルを閉じマスターに「お勘定はテーブルで」と目配せをした。マスターがゆっくり頷くのを見るとポータルを開き、山小屋に戻った。


 山小屋では先ほど落としたクロエが壊れた椅子を直していた。この野郎、お気に入りの椅子の上にそのデカい尻から落ちて壊しやがった。


「唐突に女性を自宅に無理矢理連れ込むなんて、私は慰み者にでもされてしまうのかしら。子どもも愛した女もいなくなって女日照りが続いているから仕方ないのですかね」


「それ以上言うな。お前如きに慰めて貰うほど干上がってないからな」


「それは残念」と言うと再び椅子の方へ振り返ると屈み込み、足を直し始めた。


「なぁ? 道化ぶるなよ? お前の人格はそんなクソみたいなことを心から言うほどゲスじゃないのは知ってる。

 セシリアを助けて飴くれるほどには素晴らしい性格してるはずじゃないか、この疑似ゲス女が。ゲロまみれのゲス野郎はお前の上司だけで充分だ」


 クロエは一度作業を止めると、顔を上げた。そしてゆっくりとこちらに振り返ると「腹の立つ言い方をしますね。では一体どのようなご用件で?」と睨みつけてきた。


「これからすることに黙って手伝え。喜べ。お前の腕を買った上での選択だ」

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