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仮初めの宮中にて 第七十二話

 翌日の会議の際、まず最初にクロエに追放が言い渡された。

 クロエはそれに感情的に抗議してきた。椅子から立ち上がり両手を机に叩きつて声を震わせる様は顧問団たちを増長させていた。

 四人とも無様なクロエの姿を無視をしていたが、満足げに顎を上げていて今にもこぼれそうな笑みを堪えていた。


 私はそれが三文芝居でしかないことを知っていた。

 だが、あまりに大げさでわざとらしく、どうしても滑稽にも見えてしまった。

 どうやら私も口角が上がっていたようだ。私の表情を見た顧問団たちはそれを侮蔑の笑みだと思い込んだようだ。

 芝居を芝居だとも見抜けない顧問団たちをますます増長させることになった。


 最後はマフレナを始めとしたメイドさんたち三人に取り押さえられて会議室を出て行った。

 振り払うことなど余裕なはずなのに、「陛下! 陛下!」と縋るように手を伸ばしていた。

 しかし、ドアが閉じられた途端、ぴたりと静まりかえった。

 向こう側でクロエはため息をしながら襟を直して、茶番に付き合わせたメイドさんにチップでも渡しているのだろう。


 だが、その日は様子がおかしかった。会議にヴァジスラフ氏がいなかったのだ。

 茶番が終わっても彼が現れることはなかったので、ギヴァルシュ政治顧問に尋ねると「諸用があって今日は参加できない」とのことだ。見え透いている。

 そして、次の日の会議にも彼は顔を出さなかった。


 ヴァジスラフ氏との面会は、珍しく、そして思った通りにすぐにとはいかなかった。


 それからマフレナにだいぶ苦心させた結果、三日後に偶然にも廊下ですれ違うことが出来たので、その場で捕まえて話をすることにした。


「この数日、お姿がお見えにならなかったようですが? 顧問団たちにはヴァジスラフ氏と面会をすると告げていたのですが、予定が合わないと言われていました」


「それは不思議なことだ。こちらも顧問団たちからは陛下との予定が合わない、意図的に避けているのではと聞かされていたが」


「遠ざけるわけがありません。彼らはやはり遠ざけようとしていたのですね。メイドに頼みました」


 私は顧問団に聞かされたことの真偽を問いただすと、一度はショックを受けたような顔を見せた。しかし、すぐにいつものしかめた顔に戻ると、目をつぶりその全てを認めたのだ。

 私はクロエに対してと同様に激しい怒りを覚えた。だが、それを抑え込むことに苦は無かった。国を思う者たちが自らの国の為を思い実行したことに偽りは無いからだ。


 だが、私には疑問があった。それは何故、氏がチェルベニメク騎士団に名前を載せていないのかと言う点についてだ。

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