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仮初めの宮中にて 第六十八話

 ドラグーティン氏は帝政思想(ルアニサム)調査について懐疑的な面があった。

 日々食うや食わずやの難民エルフや利益至上主義の僑エルフの中に、そのような思想を持つ者がいるとは思えなかったし、クロエからの情報から判断しても帝政思想(ルアニサム)に至るような者などいないのではないかと思い始めていたのだ。

 しかし、調査の結果、帝政思想(ルアニサム)はいなかったと報告すれば、政府の面目の為にヴァジスラフ氏が捕まる。


 では誰かを仕立て上げるべきなのだろうか。


 本国では思想の自由はあっても、帝政思想(ルアニサム)を掲揚し推し進めることは重罪だった。

 親友にそのようなものを課して良いのか、それとも親友であるヴァジスラフ氏を守る為に何も知らない難民エルフを帝政思想(ルアニサム)に仕立て上げ、ありもしない罪で裁いてしまえばいいのか。


 最終的に、ドラグーティン氏は良心の呵責に押しつぶされて自殺してしまった。検死の結果、死因は青酸中毒だった。しかし、青酸カリなどどこから入手したのかと言う話になった。

 ユニオンで行われた司法解剖の際、奥歯の咬合面の裂孔に僅かに青酸カリが残っているのが発見された。

 おそらく薬剤を噛みつぶした際に付着したものが奇跡的に残っていたのだろう。

 ユニオンおよび共和国は共同で魔術科学捜査を実行し、その残留した青酸カリを解析した。

 その結果、純度の低いものであり、おそらく連盟政府の内部で調合されたものだと判断できた。



 ドラグーティン氏が自殺したと判明する前に二人は行方不明になっていた。

 ドラグーティン氏は死に場所を探しにマルタン丘陵に向かった。

 一方のヴァジスラフ氏はどこにいたのかというと、クロエに呼び出されていたのだ。

 彼女に呼び出され、帝政思想(ルアニサム)かどうかについて尋ねられていたのだ。

 言わずもがな、クロエは諜報部員でありヴァジスラフ氏が帝政思想(ルアニサム)であることは知っていた。

 つまり、これは悪質にも、そうだと知っていながらヴァジスラフ氏を詰問したのだ。


 ヴァジスラフ氏は行方不明の後に秘密裡にフライヴァルト整備士に会い、相談をしていた。

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