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仮初めの宮中にて 第六十二話

 その会議の日の夜のことだ。

 食事も終わり、その片付けも終わり、テーブルの上には冷めた紅茶だけが残っていた。

 もう少しすればメイドさんたちがやってきて就寝の準備を始める様な時間にもかかわらず、部屋に来客があった。

 ドアがノックされたのでメイドさんたちが早く来たのかと思い開けると、予想もしなかったような人物がいたのだ。

 ギヴァルシュ政治顧問とルクヴルール軍事顧問が部屋に訪れたのだ。


「アニエス陛下、このような時間に申し訳ございません」


「どのようなご用件でしょうか?」


 ウリヤちゃんも眠たそうだ。特に今日は昼間の会議で強く出た。物事はハッキリ言う子だが気は遣うのでいつもよりも疲れているはずだ。

 これ以上厄介ごとを持ち込んで彼女を疲れ果てさせたくないので、ドアの当たりで用件を済ませようとした。


「陛下は皇帝としての自覚に目覚めたことには多い支持致します。こちらも身の引き締まる思いです」


「媚びを売りに来たのですか? それとも、私とウリヤ執政官だけのときに来て、何か恫喝でもするつもりですか?」


「いえ、あなたが権力を発揮される上での懸念がいくつかありまして、それを相談するために伺いました」


 立ち話では済まなそうだ。かといって明日に回せば、それについて何をされるか分かったものではない。仕方ないので部屋に招き入れることにした。


「廊下で立ち話というわけにもいかないでしょう」


 そういってドアを開けて部屋の中へと通し、いつも朝食を摂っている窓際のテーブルに四人でかけて、話を聞くことにした。



「懸念とは一体何でしょうか」


 夜も遅い。ウリヤちゃんも疲れてくる時間帯だ。さっさと終わらせる為に、席に着くや否やすぐ本題に切り込んだ。

 二人は渋い顔をした。のんびりお話でもしようとしていたのだろうか。

 メイドさんたちはいない時間帯であり、お茶など出すつもりもない。私が淹れるなど言語道断。

 このような非常識な時間にいけしゃあしゃあと顔をだし、剰えお茶請け話までしたいというのなら、あなた方が淹れろという態度で挑むことにした。

 それが伝わったのか、ギヴァルシュ政治顧問はため息を溢したが余計なことは言わずに本題を話し始めた。


「陛下は、近頃、連盟政府の諜報部員であるクロエや独立後に解散したチェルベニメク騎士団に名を連ねていなかったヴァジスラフ氏との関係性が強くなっていますね」


「あなた達よりも私の目的には近いと思っているので」


 即答すると、「困りましたね」とギヴァルシュ政治顧問は額を押さえるような仕草を見せた。


「どうやら二人は陛下に我々を蔑むようなことばかり言っているようですね」


「そのようですな。これは由々しき事態ですぞ」

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