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仮初めの宮中にて 第十二話

ギヴァルシュ政治顧問はヴァジスラフ氏の顔を見ると「ヴァジスラフさん、遅かったですわね。会議はもうとっくに始まってしまっていますわ」と作り笑いをした。

背後に私とウリヤちゃんがいることに気がつき、交互に顔を見ると「陛下とウリヤちゃんもご一緒ですか」と作り笑顔から笑顔さえも消えた。

両手をパンパンと叩き、部屋の角で上品に背筋を伸ばし石像のように佇んでいたメイドさんに「部屋の隅に見学用の椅子を二つ、ご用意して上げなさい」と指示を出した。

それにヴァジスラフ氏は「違うだろう!」と大声を上げた。ギヴァルシュ政治顧問が「あら、二つではなく、三つかしら?」と挑発するような高い声で言った。

それにヴァジスラフ氏は「黙れ」と調子を変えずに言うと「アニエス氏とウリヤ執政官殿には会議に正式に参加していただく」とメイドさんたちを止めた。


ギヴァルシュ政治顧問はしばらく黙ったあとに「あら、そうですか。でも」と反応した。


そこへクロエがすかさず何かを言おうとしたギヴァルシュ政治顧問を遮り「それならば椅子が空いていますね。丁度上座ですので、おかけください。陛下と執政官殿」とテーブルの真ん中の椅子を掌で指した。

そして立ち上がると、そこへ私とウリヤちゃんを先導し椅子を引いた。


「さぁ続けましょう。これから毎日陛下と執政官殿にご参加いただけるとは、非常に有意義な会議になりそうですわね」


両手を大げさに挙げて作ったような満足顔になり、「ではどうぞ」とギヴァルシュ政治顧問の方を向いた。


ギヴァルシュ政治顧問は眼瞼を刹那に引きつらせた後咳払いをすると


「お話の途中でしたね。では続けましょう。資料をご覧になっているかと思いますが」


と会議を始めた。


当然だが、私とウリヤちゃんには渡されていない。それに気がついたクロエが「お二人の分はないのですかー?」と笑顔で切り込んだ。

「その必要はな」「すぐに用意させろ」とギヴァルシュ政治顧問の言葉をヴァジスラフ氏が大声で遮り、メイドさんたちに指示を出した。

メイドさんたちが慌てて資料を持ってきた。だが、それは明らかに他の顧問団やクロエの持っている冊子ではなく、紙切れを数枚束ねただけの一部だった。ミスコピーをいい加減にまとめたような物だと一目で分かる。



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