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紅袂戦役 第四話

 寄宿学校での孤独で辛辣な生活を乗り切った二人は成人してベタルの町に戻り、復讐をするためにすぐさま挙兵したのだ。

 それを止める者の声は小さかった。

 グラントルアから離れ、窮屈ではない地での安寧を手にしていた者は少なくなく、止めるために声を出した。

 だが、かつて処刑されることなくベタルの町へと突然封じられたことに怒り、ルーア本家に対する恨みを持つ者の声は大きかった。

 戦う意思のない者の声はあまりに弱々しく、戦う者が上げる大きな足音の前には何の意味も成さなかった。


 兵たちは皆戦うことで一致していた。士気も高いと言うよりも狂気に近かった。

 しかし、軍の中にいながらも止めようと試みた者が一人いた。それはヘルベルトだった。

 彼は本家との戦争が起きる前に二人を止めようと試みたが、狂気を帯びてしまった軍はもはや止める者が将軍であっても止めることは出来なかった。

 それどころか、ヘルベルトは臆病者として軟禁されてしまったのだ。


 そして、第一次紅袂戦役が起きた。

 フェルタロス家はグラントルア制圧までは行かなかったものの、政治体制を掌握し、フェルタロス王朝を正式に宣言した。

 しかし、翌年、現在の名称ではアカアカ・カルデラ(イレレロ・ルア・アクァアクァ)が噴火し、北部および西部を制圧していたフェルタロス家は影響を受けた。

 政治体制もよくはなく、その出来事により統治体制は一斉に傾いたのだ。さらに隙が生じたことで、人間のエノクミア大陸への侵攻まで許してしまった。


 そこへルーア家が兵を挙げて巻き返しを図った。それが第二次紅袂戦役である。しかし、それでも依然としてフェルタロス家は強く、互角の戦いが続き、膠着状態になった。


 だが翌年、ルドヴィークが火山灰降灰の影響により呼吸器を害し、改善されることなく崩御し次男が帝位を継いだ。

 火山噴火の影響は長期にわたりフェルタロス家はさらに弱体化し、第三次紅袂戦役が起きたのだ。

 情勢は明らかであり、ルーア家が圧倒していった。いくつかの戦いの中でついに三男は戦死した。

 失ったのは三男だけではなく、多くの優秀な将も次々と倒れていった。


 優秀な軍指揮官を用いるべく軟禁されていたヘルベルトが解放された。


 だが、ヘルベルトは戦いを拒否し、戦いを終わらせるようにマルツェルに掛け合うことにしたのだ。

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