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車中の思惟 第三話

 だが、たといその勢力が加わったとて、ユニオンは終始優勢となるだろう。

 テロによる警戒と称してマルタン戦線のユニオン側の兵を増強させているので、一方的ではないが激しい戦闘が起きる。

 その激しい戦闘に一役買うのは商会だ。

 商会は物が壊れることを前提での商売をしている。それはいつかのオージーとアンネリ、それからグリューネバルトの論文の件ではっきりしている。

 マルタンでの戦闘を激しいものに仕立て上げ、様々なものを意図的に破壊していくだろう。


 連盟政府・商会連合軍は甚大な被害を被り、マルタンからは完全撤退。ユニオンはマルタン奪還をし、それ以上に戦線は広げることは無い。連盟政府による謎の勝利宣言がなされ戦争の幕は閉じる。

 そして、商会は復興支援・破壊への補償などと様々な名目でマルタンへ過剰に入り込む。


 一連の事態を受け、発端となったユニオンの難民エルフ政策はより厳しいものへとシフトさせられるだろう。


 少し時間が戻り、北側で連盟政府と戦っている北公は、マルタンでの戦闘が起きたことを契機に戦線をさらに拡大させる。

 その状況を挟撃として利用するため、また戦闘はマルタン以上に広げないというユニオンの思惑を考慮し、マルタンで戦闘が起きている間に目的を果たす為に行動は素早く行われる。

 そして、すぐにでも首都も陥落させるだろう。

 だが、北公がしているのは侵略戦争では無い。カルルさんは北公・ルスラニア王国を連盟政府に国家として認めさせる為の戦争をしている。

 彼の主張として、シーヴェルニ・ソージヴァルへの加盟は、領主・領民の多くが加盟に積極的であることを条件と定めているので、軍により落とされたから支配下になると言うわけではない。

 国家として認めさせたあとに、連盟政府の領土を割譲しろとも言わず、軍はすぐさま撤退しその後は何もしないのだろう。

 制圧後の反乱を抑える為に徹底的に行ったことでできた家々の焼け跡と、靴とタイヤに踏み荒らされ荒廃した田畑だけを残すという、ある種質の悪い焦土作戦のようなこと展開していく。

 連盟政府は敗北ではなく独立容認するだけなので、国家として存続するはが十三采領弁務官理事会は解散。責任の擦り付け合いの末に機能停止に陥る。

 そこから連盟政府の自己融解がゆっくりと始まるのだ。治安は乱れ、自治領その者が略奪者にもなるだろう。

 その混乱を治める為に、一部はシーヴェルニ・ソージヴァルに加盟し、一部はユニオンに属することを選ぶだろう。

 だが、地政学的にどちらも選べないところも少なくは無いはずだ。

 そういった所は完全に無政府状態となる。その状態を放置すれば、治安の悪化による難民の発生や犯罪の増加を無視するわけも無い周辺諸国が――或いは、攻め込み支配する者たちが我こそはと乗り出し、そこで生じる食い違いで新たな戦いが起きる。

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