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巨塔集う 第四話

 一件目は完全に注目を集めるだけだったようだが、それにより話題は持ちきりになった。

 二件目は対エルフ難民政策局は閉鎖により無人であり建物だけが被害を受けた。

 三件目は二件目が宣言通りに確実に実行されたことにより、倉庫にいた職員たちは待避していた。そして、襲撃により壊れた建物へ、エルフの難民たちがなだれ込み、サボタージュの後備蓄されていた食料を全て奪った。

 マルタンは連盟政府所属時の自警団とユニオン独立後に創設された警察組織で治安維持に当たっているが、亡命政府の圧力もあり身動きが取りづらくなっている。

 三件とも幸いにも死傷者はいなかったが、物的被害は計り知れないものだった。


 それを機に、様々な模倣犯が現れた。

 純粋に体制に支援を要求する者たちだけでなく、ただの窃盗団まがいの者たちも現れてマルタンの秩序は瞬く間に乱れていった。


 レヴィアタンは自分たちの意思を明確にする為に、一揃えの肋骨服を着ている以外の者たちの行動を激しく非難した。

 だが、同時に志を同じにする者は合流することを認めると宣言をし、偽物、模倣犯、触発された者たちを仲間にしていった。


 ほぼ同時に、亡命政府は皇帝の末裔がいるという情報を掴んでいた。

 亡命政府は頻発するテロを重く受け止め、騒動鎮圧の為の案を模索した結果、皇帝の擁立をすることにした。


「ここまでが概要である」


 ルカスは書類をテーブルの上に置いて、テーブルに両手を突き前屈みになった。


「だらだらと説明をしたが、することは一つだ。皇帝の殺害だ。それも陰でこっそり殺す暗殺ではなく、公衆の面前での殺害が必要だ。

 誰がやったなどと言うのは言うまでもなく、共和国であると知らしめなければいけない。皇帝は共和国から排除しなければいけないからだ」


 そう言いながら全員を見回した。

 話を聞いている最中に少しずつ目が覚めていき、終わるころにははっきりとしていた。

 俺はルカスの見回す視線に合わせて、会議の行われている場所を見回した。

 見覚えのある内装はグラントルアの評議会議事堂の長議室だ。

 ルカス、ユリナ、シローク、そして、マゼルソン。錚々たるメンツが揃っている。そこに俺がいるのはどう考えてもおかしい。ルカスがいるならばヤシマがいてもいいはずだ。

 それに、一国の長たちを集めてする会議をグラントルアの評議会議事堂の長議室でそれぞれの部下や使用人を置かず行うというのは、どれほど機密を高めるつもりなのだ。

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