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巨塔集う 第二話

 マルタンは現在、帝政ルーアの亡命政府を自称する政治的集団によって不当に占拠されている。

 帝政と言いながらこれまで皇帝は不在でありこちらも政府とは認めていないが、以降便宜上帝政ルーア亡命政府と呼称する。

 最近まで目立った動きはなかった。当初、連盟政府が支援を申し出ていたが、亡命政府は過剰に関与されそのまま乗っ取られる可能性を警戒して多くは受け容れていなかった。

 連盟政府がマルタン解放の為に送った軍もマルタン亡命政府の依頼でもなく、一方的な派兵という形になった。


 マルタンは閉鎖されたが、カルデロンが非正規ルートによって物資を送っている為に市民は占拠前と遜色ない生活を送れている。


 しかし、正規のルートが閉鎖されたというのは表向きには孤立状態となっているので、やはり隙になる。カルデロンの商売敵であるトバイアス・ザカライア商会もそこへ介入している。

 彼らは亡命政府による一方的な占拠に反対を表明し、市民の日常を守ると言う目的で本来商圏ではなかったはずのマルタンへの物資搬入を混乱に乗じて積極的に行っているが、混乱が収集した後に商圏を奪取しようという目論見が目に見えている。


 カルデロンが仕入れたものよりも安く提供しようとしている点でそれは明白だ。日常を守るだけであるならば、価格を下げる必要性は見いだせない。

 関与すればするほど増大していく損失を彼らが許すわけもない。未来の市場獲得という先行投資をしているようなものだ。


 混乱の収拾をユニオンがした場合、マルタンはカルデロンの商圏として復帰し商会は追い出される。

 商会が混乱を収拾させようという形で事態に積極的な介入を示した場合には、どれほど独断であると主張していたとしても間違いなく連盟政府の意図があるというのは確実である。

 政府と商会は支援と反対という互いに相反する主張をしているが、そのようなものは建前でしかない。

 商人が掲げるべきは利益であり、善意などではないのだから。


 話をマルタンの現状へと戻す。


 連盟政府から支援拒否により、連盟政府が支援と称して一方的にマルタンの亡命政府へ送ってきた軍隊とユニオンとの衝突は一時的であり、早雪や北公の独立によりマルタンの戦線は冷え込み、戦闘が行われていない状態になっていた。


 しかし、最近になりマルタンの都市部でのテロが頻発するようになった。


 その背景として、ユニオンの行っている対エルフ難民政策の一環である支援が影響している。

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