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マティーニに銃弾を 第四話

「裏切り、と言う点では、クイーバウスの領主であるアンヌッカを離反が始まるや否やさっさと裏切ったことについて、どう申し開きをするのかね? クイーバウスの元将軍“冥界の吹雪(マーク・スニッストム)”。

 人心掌握と自己保全を比べることはできない。だが、世間からすれば前者の方が印象は良い。私は印象や見た目で評価はしない。

 しかし残念だが、国家というものは共同体であり、個人で成り立つわけも無かろう。

 あくまで私個人での意見だが、立場に就いてから後に成し遂げたことを評価対象すれば、貴様よりも低い地位にありながら数多の結果を出しているムーバリの方が評価に値するのは自明の理。

 過去のものとは言え、貴様も武人であったなら信賞必罰は心得ているはず。

 おそらく、任務を貴様の信頼する部下に任せたとしても、成功させることは間違いなかろう」


「では、任せていただけるのですね」とヘルツシュプリングは顔をほころばせた。


「そのようなことはない。ムーバリに任せることに変わりは無い」と閣下は語気を強めた。だが、表情を緩めて聞き分けのない部下を諭すような顔になると、


「ヘルツシュプリング、そこで一定の成果を収め再び地位に返り咲こうとしているのは理解出来る。

 今回の任務も成功すれば、我々シーヴェルニ・ソージヴァルに、未来に至るまでの大きな利益を見いだせる」


 と言った。それにヘルツシュプリングは増長し、丸いからだと顔を大きく膨らませて目を輝かせた。


「ならば、ますます私めにお任せいただきたい!」


 だが、閣下は目をつぶり、見せつけるように首を左右にゆっくりと振った。


「なぜですか! このような裏切り者に任せるなど北公の、いやシーヴェルニ・ソージヴァル全体の未来が危ういです!」


「貴様は確かに優秀な指揮官だ」


 ヘルツシュプリングは閣下の言葉に色めき立った。このまま押せば自分と自分たちの部下に任務を任せられるのではないだろうか、と押しを強めんと胸を張り出した。

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