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巨塔嗤う 第五話

 誰もいなくなるのを見計らってマルタンの話を切り出してきたということは、私の計画に薄々と気がついているのだろう。だが、種明かしするのはまだ早い。

「亡命政府の関係者か?」とややしらばっくれた様なことを聞き返した。


 実はレヴィアタンの存在の情報は対外情報作戦局がだいぶ前から掴んでいた。だが、白服機関には通達をしなかった。

 そこは私たち軍部省のみならず法律省の管轄でもあり、マゼルソンも関与しているからだ。

 情報の共有を意図的に遮断したわけではない。何度も言うが私の計画の為だ。


 しかし、レヴィアタンはテロリスト集団というにはあまりにも統制のとれた動きをしている。

 構成員はエルフであることは確かだが、難民であるかどうかまでは不明なのだ。

 高度な指揮系統による統制のとれた行動や難民である可能性が高い為に身元の特定が困難なのだ。おそらくただの寄せ集めではない、かなりきな臭い連中だ。

 ソイツらのおかげでマルタンを再び混乱の渦に陥れることが出来たのは確かなのだが。


 マゼルソンは知らないふりをして尋ねた私を黙って見つめた後に、「ではないそうだ。だが、エルフである以上、帝政とは無関係だと断言は出来んだろうな」と言った。


「随分詳しいじゃねぇか」


「私はこのエルフの国にとって皇帝が必要な存在であるという考えの基に動いている。必要な情報は必要以上に調べる。

 だが、法律省の仕事は内務が主で、そこに所属の統合情報作戦局も国内向けの仕事が主体でな。今回のことはマルタンでの出来事で、国外の事柄に顔を出すことは不可能なのだ。

 亡命政府は帝政ルーアだとこじつけて国内だと言い張って強引に介入してもよかったが、そうしてしまうと亡命政府を国家として認めたことになりかねない。

 そこで白服機関に色々と調べさせている。しかし、些か後手に回っているようだ。支配権を軍部省と法律省で半々にしたのは情報共有が遅れる原因のようだな」


 実弾演習は混乱気味だ。くじは平等で小隊を構成する者たちは警備隊と軍人が半々と等しくなるようにしているが、指揮権をどちらが取るかで揉めるなど、普段の間柄をよく表している。


 それにしても、このジジィは対外情報作戦局が既にレヴィアタンの情報を掴んでいたのを知っていやがるな。

 知っていようが構わない。しかし、どこでそれを知ったのか。情報の流出経路が問題なのだ。

 モンタンを経由して情報が入ったとは考えづらい。最近モンタンはムーバリとして対北公の任務を中心的に担当しているからだ。把握している限り、現地にいることがほとんどだ。


「じゃ仲良しのあんたに、私からのとっておきの情報だ」

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