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大熊と魔王 第五話

「ソイツら悪くないって。見張りサボらせるわけにいかないから俺が勝手に連れてきただけなんだから。

 バレる前にこっそり帰るつもりで来たんだが、バレちちゃったんだ。今回も許してくれよ」


「バレなきゃいいってか? まぁいいだろ。だが、そうだな」


 ユリナは考え込むように視線を上へ上げた。


「じゃ、罰として北公と、えーと、……何だっけ? 新しい国」


 掌を動かし、ストレルカの顔を覆った。蜘蛛のように指先を動かし、頬をゆっくりと這わせ、やがて目を覆うような位置で止まった。

 ストレルカが恐怖に息を飲み込みヒッと喉を鳴らすと、「ル、ルスラニア王国だ」と細くかすれた声でそう囁いた。


「そうそう、それそれ。その話を聞かせて貰おうか」と言いながら耳に息を吹きかけた。


「やめろ! お前らに教えるコトなんざ、何一つありゃしねぇ!」とベルカが眼球を盛んに動かしてストレルカの様子を見ながら叫んだ。

 すると、ユリナは「私はお話ししたいんだぜぇ? つれねぇこと言うなよぉ」とベルカの方の手も動かし目を覆い隠し始めた。

 ベルカは逃げるように身体を突っ張らせている。だが、虚しく動くことは叶わない。


「お前らバカかよ。できたてほやほやの弱小国の弱点なんか聞きたいわけじゃねぇんだ。どことどういう関係性とか、何がたくさん採れるとか、その程度しか興味ねぇから。

 なぁに、安心しろよ。イズミの友達ってコトは、友達の友達ってコトだ。悪りぃようにはしねぇよ。

 無理矢理聞くようなこともしない。無理矢理聞き出すのは一国の長がわざわざすることじゃねぇからなぁ」と囁いた。


 そのままこちらを振り向くと、「イズミ、飯食ってけよ。こいつらも飯食えば落ち着くだろ。ちっこいのも甘い物食べたいだろ」と先ほどからは考えられないほどの笑顔でそう言った。


 戻って遅い昼食にでもしようと思ったが、料理も作り始めの準備しただけだった。戻って作るのも面倒なのでご相伴に預かることにした。頷いて了承すると邸宅の方へと歩き出した。

 しかし、ユリナはまだ二人を目隠ししたままだ。

 二人ともユリナよりも少し背が高いのだが、逆らうことが出来ない彼らを仰け反らせるような姿勢にさせて歩かせている。

 もう離してやっても良いとは思うのだが、二人が慌てふためいて敷地内の森に脱兎の如く逃げ出すかもしれないのでとりあえず邸宅の中まではそのまま連れて行かせた。

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