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背中合わせの邂逅 第二十六話

 私たちもこうしてはいられない。今は疲労困憊だが、引き金は軽い。

 いざ銃を取り戦わんと、イルマと向き合い頷いて息を合わせ壁の銃に手をかけようとした瞬間、「待て!」とフラメッシュ大尉が止めた。


「北公二人! お前たちは魔法使いだろうが! それに触るな!」


 えっと息をのんでしまった。

 まさかここで放り出されるのだろうか、そう思ったが、フラメッシュ大尉が反対側の壁に向かった。

 そこにはアスプルンド零年式二十二口径に似た銃がいくつもかけられていた。


「こっちに来い。お前らはこの雷管式を撃て!」


「雷管式銃は北公の銃しか射撃訓練で撃ったことないです! そっちの操作が簡単な方を使った方が即戦力になります!」


 吹き込む風に声を飲み込まれまいとイルマがそう言うと、フラメッシュ大尉は口角を上げた。


「安心しろ! これはお前らのバッタモンのアスプルンド零年式二十二口径と大差ない!

 ブルゼイのチンピラ二人が使ってる魔法射出式銃には絶対触るなよ! 魔石暴走で壊れてしまう。一丁五十万エケルだ! お前らの偉大な閣下殿に請求することになるぞ!」


 そう言いながら壁に掛けられていた雷管式小銃を渡してきたのだ。

 小銃はアスプルンド零年式二十二口径よりも銃身が短く、そして重さも軽い。使用されている金属の含有割合からしてだいぶ違うのだろう。横の木箱に入っている弾はやや小さめだ。

 単発式のボルトアクションの本体を指でなぞった。丁寧にニスが塗られて光る木製の台尻は丸みが強く、私には些か丸すぎだが、イルマの肩にはちょうど良いのかぴったりと収まっている。

 アスプルンド零年式二十二口径と同じ位置に突起があり、どうやらそれが同じくセイフティのようだ。


「こういうときにラーヌヤルヴィ下佐がいてくれたらいいんですけどね」


 イルマがセイフティを解除しながら右の口角を上げて皮肉に笑いかけてきた。


「イルマ、言いたいことは分かるが、それは今話すな。このときこの場に集中しろ。準備が整ったら私たちも撃つぞ! ブルゼイ族に後れをとってなるものか!」


 イルマとは目を合わさず、撃つ準備を整え窓の下に身を隠した。すぐ横にイルマも並び「はい!」と元気な返事をした。

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