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背中合わせの邂逅 第十九話

 彼の言うとおり、元々複雑な事情があったところで事態がめまぐるしく二転三転したために、どこから何を尋ねて良いのか頭の中の整理が出来ていない。

 しかし、私はまずこの車は何処に向かって走っているのかを確かめなければいけない。すぐにでもムーバリ上佐に追いつかなければいけないし、ビラ・ホラにもたどり着かなければいけない。


「すまないが、この車は何処に向かっ」


 突然、頭の上から強烈な破裂音が全身を押さえ付けるように響き渡った。

 私は驚き言葉が途切れてしまった。驚いたのは私だけでなく、全員が音に反応して頭を下げていた。


「どうやら、だいぶしつこい魔法使いみたいだな」


 フラメッシュ大尉殿は舌打ちをすると話を中断し、隅に置いてあった木箱から何本もの筒の付いた大型の金属の四角い塊を持ち出して装甲車の後ろの窓を開けた。

 そして、窓枠で箱を固定すると「爆音がでるぞ! 耳塞げェ!」という同時に、耳を塞ぐ合間もなく引き金が握られ、何かが打ち出される高音と筒の先の束の回転音を車内に反響させて筒の先からいくつもの光の弾を撃ち出した。


 しばらく笑いながら撃った後にフラメッシュ大尉はフゥーと大きくため息をして窓を閉めた。

 金属の塊は発射時の熱がこもり、空気を揺らすほどに熱を帯びているようだ。筒の先端も赤みを帯びている。

 大尉はそれを乱暴に床に置き「上の砲手! 撃ち続けろ!」と怒鳴ると、近くに落ちていた大きめのレンチを拾い上げて装甲車の天井を二、三度叩いた。

 ゴン、ゴンゴンと言う返事の様な音がした直後に、鉄の壁で阻まれた天井から先ほどの破裂音が響いてきた。


 フラメッシュ大尉が窓を開けて乱射した銃のような兵器を見てあっけにとられてしまい、それまで何を話していたのか忘れてしまった。

 彼女が撃った銃は弾を連射する仕組みの銃のようで、アスプルンド連射式多弾砲に似ているが多弾砲とは明らかに違う。

 撃ち出される弾は強く光り輝く球体であり、高温の実弾以外の何かだ。それでいて発砲音は火薬が爆発するような空気を震わせるような音ではなく、軽い高音なのである。

 回転していた筒の根元に付いている箱――連射多弾砲で言うところの弾倉が小さい。その反面、冷却機構が大きく取られているようなのだ。排熱がそれでもありあまるのだろう。


「何だ、アレは。アスプルンド連射式多弾砲か? いや、連盟政府の者が扱えるハズがない。そもそも音が違う。それにあれだけ連射しているのに薬莢が一つも出ないのか」


「連射する仕組みは同じみたいですが、見たことが無い兵器ですね。なんだか、危なそうな……」

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