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背中合わせの邂逅 第十二話

「大丈夫か!?」

「大丈夫! まだ距離があるから威力もたいしたことない! でも」


 幸いにもイルマも疲れてはいるがまだ戦う気力は残っている。

 イルマは素早く辺りを見回した。ヴァンダーフェルケの黒い軍服はイルマの砂鉄の絨毯とは違った黒さでそして比較にならないほど広大に地面を覆い、波のようにこちらに向かってきている。

 どうやら我々もこうしてはいられないようだ。とにかくまずは時間稼ぎのブルゼイ族よりも、正面切って殺しに来ている連盟政府の連中から自分たちの身を守らなければいけない。

 イルマに目配せをすると頷いた。彼女と背中合わせになり、杖を構えて低く腰を落とした。


「大軍相手だ。私は氷塊具術(イースグロヴィ)で戦う。だが、君は既に消耗している。これ以上消耗の激しい描鉄陣(フルートヤールン)は使うな! 強烈な一撃で突破できる状況ではない。いずれ訪れるチャンスまでは雷鳴系の魔法で直接戦え!」

「はい!」


 するとイルマがポケットから特注の長い手袋を取り出して嵌めた。

 長い手袋の外側、尺骨側と橈骨の間に突起が三個付いている。前腕部の外転の動きを阻害しないか、前腕部を回し、さらに掌を握っては開き動きを確かめた。

 今度は杖の両端を持ちそれを上下に回して二つに分けた。そして、二つに分かれた杖を手袋の前腕部の突起に装着すると拳を前に構えた。


 私も迎え撃つために杖に氷を纏わせ、半円形で大きめの盾を練り上げた。さらに攻撃性を持たせる為に前方にいくつも棘を生えさせた。

 禍々しさを帯びたそれを前に大きく構えてその背後に隠れた。そして、「イルマ、続け!」と彼女に指示を出し、共に敵の集団の中に突撃した。

 そのまま幾人かを巻き込み戦闘不能にしたが、数が多くついに遮られてしまった。

 氷の盾をはじけ飛ばすようにして解除すると、長さ十フィートほどのランスに錬り変えた。それを左右に空を切るように薙ぎ、敵たちをさらに弾いた。


 続くようにイルマは拳を構え腰を落とし、杖を持ち上げて近距離で魔法を今にも放とうとしている集団に向かって走り出した。敵たちが杖先をイルマに向け魔法を放とうとした瞬間、彼女はスライディングをした。

 そして、足をかけながらその腕に付けた杖から雷鳴系の魔法を放ち敵たちを足元から次々と倒していった。

 動きが止まるとすぐに地面を蹴って立ち上がり、重さはないがスピードのある体術を繰り出した。

 杖で叩こうとした者の腕を掴み、関節を曲げて放たれようとしていた魔法の向きを変えて別の者に当て、そのまま敵を投げつけて三人ほど同時に倒した。

 さらに、魔法を放とうとした者の首に巻き付き絞め上げた。突然気道を塞がれて暴れた敵は目標を見誤り、闇雲に火の玉をいくつも投げかけ味方を巻き込んでいった。

 そして、イルマは腕の杖から雷鳴系の魔法を放ち、絞めていた敵を倒すと別の敵へと向かっていった。すぐに包囲されたが地面を魔法と一緒に強く叩き、地面ごと敵を吹き飛ばした。

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