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夏の日の出来事 番外  作者: 夕部空波 
2 自分の中心
8/14

8

 真希は散歩をしていた。


 夜中に年頃の娘一人で危険だなんて真理は叫んでいたが舐めないでほしい。一応頭より運動神経で勝負している人の類だ。簡単に言うと空手をやっている。それぐらいは分かるだろうに。

 真希の手紙を読んで襲ってきた不安を鎮めるために散歩をしているのだが結構ふつふつと怒りがわきあがってきた。


 不安なんて言うより、そう思われていた自分に怒りを感じていた。弱みを唯一さらけ出した人物、なんてそんなこと思って心を閉ざした実幸にも苛つくし。あ―むしゃくしゃする!! と叫ぼうにも叫べず、とりあえず外へ出てきてしまった。本当は明日にでもしようかと思ったが苛つくものは速攻解決をモットーに生きてきた真希だ。(うそだ。散歩をしている理由への言い訳の一つだ)駅に向かうことにしている。


 きちんとスイカを持って来た。額は5000円ぐらいだろう。昨日、チャージした。元から打ってあったメールを母宛に送信した。

 駅に走って向かうと、ちょうど実幸が乗っていたのとそっくりの電車が来ていたところだった。行先を確認し問答無用で乗り込む。夜の8時ぐらいだから帰宅ラッシュにはぎりぎり入らない、というところだろうか。ちらほらとあいている席に座った。

 実幸にかいてもらった住所を確認してポケットの中に突っ込んだ。




 むかつく




 今の真希を支配していた感情がこれだけだ。少し前までは不安と今まで積み重ねていた物が音を立てて崩れ去っていくのを感じていたがなぜか自分への怒りに変わり、その怒りが実幸にも向いていった。家まで押しかけて、言いたいこと言ってやる。


 友達は上っ面だけの付き合いだとか、真希に忘れられていたのじゃないかと思っていただとか、友達が居なくなったら過去の自分が羨ましくなってしまうからとか。


 手紙に書いてある、ありとあらゆるところを叱りつけてやる。実幸のネガティブなところを全部かっさらって、誰とでも仲良くなれるような、あるいは人と人のかかわりは素敵だと、感情を持って、自分の意見をきっぱり言うのは難しいけれど、とても大切なことなのだと、教えてやる。何が実幸を縛っているのかはよくわからない。しかし、きっと親なのだろうと思う。実幸をああいう考えに育てたのは顔も知らない二人なのだろうか。


 携帯の時刻を見て、今日は無理矢理でも実幸の家に泊まろうと考えた。というか、実幸の家まで2時間かかるというのは、結構つらいな。などと考え、あたりを見渡した。先も見渡したのだが何駅かもう乗ったので人が少しずつ増えている。そのため、さっさと端っこに移った方が得策だな、と考えたためだ。電車の車両と車両を繋げる部分に近い、優先席付近に近い場所が開いていた。少し多くなった乗客の隙間を通り抜け、そこに座る。


 優先席に近くそこに座るのにふさわしい人が通りやすいようにか、単純にそこまでいかないのか、優先席の近くは人がいなかった。さらに、車両をつなぐ扉が近いので隣の車両もよく見える。


 その時だった。


 隣の車両に、何気なしに目を向けた真希は驚いた。


 理由としては至極簡単なものだ。


 隣の車両のすぐそこになんと1時間前別れた実幸が乗っていたのだ。


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