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「んっじゃ、いっくよ~!!」
真希と真也がせーのと言い、
「メリークリスマス!!」
クラッカーが3つ鳴った。何も知らなかった実幸はただ驚いている。
「ねぇねぇ、驚いた?」
「ん、そ、だね」
クラッカーのせいで耳の鼓膜が少しおかしくなってしまってはいないだろうか。そんなことを思って、耳をもんだ。
「お母さん、ケーキ切り分けてよ」
「はいはい、お父さんの分も取っておいて、えっと、五等分ね。丸くなくてよかったわ~。……実幸ちゃん、はい」
「どうも」
「ちょ、母さん! 何で実幸さんが一番おっきいと……いや、いいです」
実幸さん、のところだけ声が小さくなった真也の反論は真希の冷たい視線で一蹴された。
「当たり前だよね、真也。実幸、お客さんだもん」
「でも、わたしこんなに食べられないかも……」
「じゃ、わたしがもらうよ。その時は」
そういって真希がウインクした。テーブルを挟んで向こう側にいる真也が真希を恨めしそうに睨んでいる。
仲がいいんだな。そう思って実幸は笑顔を見せた。そうした瞬間に真也の顔が真っ赤になったというのは言うまでもない。
***
「実幸さ、高校どんなとこ行ってんの?」
「どんなとこって?」
「例えば、制服とか、頭とか」
「頭? 偏差値の事?」
「そ。実幸頭いいもんね。偏差値どのぐらい?」
「んと……66、7ぐらいかな」
そういった瞬間に真希が崩れた。今日二度目の事である。
「え、なに?」
実幸のその言葉がさらに真希を刺激したのだろう。眉を高く吊り上げ眉間に皺を寄せている。さらには、実幸を思いっきり人差し指でさした。
「実幸何なの!?」
「な、にが?」
言葉が詰まるのも普通だろう。
「なんでそんなに頭がいいの?」
その一言で笑ってしまったのは普通だろうか。
「な、何かおかしい?」
「だって真希、そんな真剣に」
「そうじゃん! 引っ越しばっかりしているって言っていたくせに、何でそんなに……」
「……うちの親、勉強、厳しいんだよ。でも引越しするからって70以上のところは避けたんだ」
「70、以上って……。70以上が普通なわけで」
「そうだね。親からすれば」
少し冷たく言い放ったその言葉に真希は、あ、と思う。〝引っ越しばかりしているって言っていたくせに〟そんな些細な一言が実幸を傷つけてしまったのではないか。そう思って謝った。
「ごめん、実幸」
「何が?」
「いや、引っ越しばっかりしているって言っていた、なんて言っちゃって……機嫌、悪い?」
「べっつに。ホントのことだし。それで怒んないよ、わたし。……それより早くケーキ食べなよ。わたし食べたよ」
「え、はやっ」
そういったのは真也だ。どうやら、実幸に見惚れていて食べるのが疎かになっていたらしい。
「早く食って勉強しろ」
真希の言葉が真也との絶大な服従関係であることを物語っていた。
「実幸、住所教えて」
「何で?」
「年賀状送るから」
そう言われ、ぼんやりと返事を返す。出された紙に今の住所を書いた。年越しまでは今のままの住所でいてほしい。
「サンキュウ―! ってことで、クリスマスパーティーの醍醐味! プレゼント交換」
真希が言いながらプレゼントが入っているのだろう袋を実幸に渡した。
「じゃ、わたしも」
そういって実幸はプレゼントの袋を4つ出した。
予約でできなかったな~
誤字脱字感想あったらまってま~す。
まだ続きます。