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来ない返事
翌日、火星を隕石群が襲った。
ニュース映像は、
赤い砂嵐と、破壊されたドームの外壁を映していた。
被害規模。
死傷者数。
復旧の見通し。
彼は、数字を見なかった。
ただ、端末を握りしめていた。
メッセージを送る。
返事は来ない。
次の日も、
その次の日も。
彼は、毎日同じ文章を書き続けた。
「今日は、雨じゃないよ」
「体調は変わらない」
「まだ、ここにいる」
返事は来なかった。
やがて、
送信する文章は短くなり、
最後には、何も書けなくなった。
返事が来ないことが、
特別ではなくなるまでに、
一年もかからなかった。




