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冤罪
ちょうど一学期の終業式の日の出来事です。
呼び出されたのは、ちょうど一か月前のことだった。
教室に入る前、先生と学年主任に声をかけられた。理由も告げられずについていくと、静かな部屋の中で「お前、三年の先輩の胸ぐらを掴んだだろ」と切り出された。
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
俺はそんなことしていない。だけど冤罪だってわかっていても、特に怒りも湧かなかった。
「別に俺がやったってことにしていいっすよ」
そう答えると、妙に場がざわついた。
先生は首を振った。
「いや、一年生の誰かがやったなんてことにしたくないんだ」
冤罪をかけてきた側が、冤罪を認めさせてくれない。不思議な話だと思った。
あれからしばらく経つけど、結局あの件はどうなったんだろう。
俺にとっては、もうどうでもいいことのようで――でも、時々ふと思い出す。
あのときの自分の返事は、本当に正しかったんだろうかって。