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巨乳美少女とつきあったら貧乳幼馴染がおかしくなり美乳地雷系までせまってきた  作者: みらいつりびと


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恋は残酷

 寿限無さんは僕と手をしっかりつないだまま、ずんずんと歩き始めた。僕が振りほどこうとすると、強くきつく握り締めた。

 寿限無さんは線路沿いの道に出て、そこを足早に歩いた。けっして手を離そうとはせず、無言でひたすら進んでいった。こんなところを知り合いに見られて、万が一きらりさんの耳に入りでもしたら困る。

 金網のフェンスの向こうに南北に延びる線路があり、電車が耳を圧する音を立て、近づいては去っていく。


「離してよ」

「嫌よ。離したら小鹿くん逃げちゃうもん」

「逃げないよ」

「本当に?」

 僕はうなずいた。

 彼女はそれでようやく手を離してくれた。

 逃げても問題は解決しない。寿限無さんに僕のことをあきらめてもらわなければならない。


「どこへ行こうとしているの?」

「親水公園よ。電車から高い樹木が立ち並んでいる場所を見たことはない?」

「ああ、言われてみればそんなところがあったね」

「そこ公園なのよ」


 寿限無さんは僕の制服の袖をつまみながら歩いた。

 手をつながれるよりマシだが、カノジョでもない女の子にそんなことをされては困る。

「離して」

「嫌」

「逃げないから」

「本当はあなたの腕にしがみつきたいのよ」

「だめだからね」

「ちぇっ。カノジョっぽいことをしたいのに」

「カノジョっぽいことをされたら困るんだよ」


 そんなことを言い合っているうちに、高い針葉樹が立ち並ぶ公園が見えてきた。空を刺す針のような樹々が森を形成している。

 彼女は僕の袖をつまんだまま緑濃い公園に入っていった。

 森の中に池があり、その周りは遊歩道になっている。30代半ばくらいの女の人が、白と黒の毛並みが綺麗なボーダーコリーを連れて散歩していた。

 僕たちもその遊歩道を歩いた。


「いいところだね」

「でしょう? 入学式の日に電車の窓から見つけたの」

 池を眺められるベンチがいくつかあって、寿限無さんはそのひとつに座った。まだ僕の服の袖をつまんでいる。僕は彼女の隣に座るしかなかった。


「なんの因果か、私ときらりの男の子の趣味はほとんど同じなのよ」

「それはきらりさんから聞いたことがあるよ」

「ショタコンって言われることがある。童顔で背の低い男の子が好きなの」

「そうらしいね。おかげで僕はきらりさんとつきあうことができた」

「高山くんはイケメンだけど、背が高すぎて、好みからはずれているの。好きになろうとはしたのよ。でもだめだった」

 寿限無さんは唇を突き出して、ちょっと拗ねたような表情になっていた。

「仕方ないじゃん。恋は理屈じゃない。論理や倫理で人を好きになるわけじゃないもん」


 池で魚が跳ねて、水面に大きな波紋をつくった。波紋は太陽を中心とした惑星たちの軌道のようにも見えた。

「私は小鹿くんが好き。どうしようもなく好き」

「僕はきらりさんが好きなんだ」

「きらりのやつうまくやったなあ。入学式の日に小鹿くんに手を出したんでしょ? 電撃作戦じゃん」


 冷たい風が吹いて、樹々の葉をざわざわと鳴らした。寿限無さんは僕の袖を離して、両手で自分の二の腕を抱いた。

「ねえ、私を小鹿くんの愛人にしてくれない?」

 彼女は突拍子もないことを言い出した。

「あ、愛人?」

 久しぶりにどもってしまった。


「わかりやすく言うとセフレ。恋人はきらりでいいよ。私とはからだだけの関係を結んでよ。きらりには秘密にしましょう」

「そんなのだめだよ」

「どうして? 男の子にとっては悪い話じゃないでしょう? 労せずしてふたりの女の子と遊べるのよ」

「絶対にバレるよ。きみときらりさんは友達じゃないか。接点がありすぎる。そんなのはきっとわかっちゃうよ。秘密になんてできない」

「バレなければいいの?」

「バレなくてもだめだな……。僕は浮気したくないって言ったよね。絶対にきらりさんを裏切りたくない」

 寿限無さんは舌打ちした。

「恋は残酷だなあ……。私は高山くんを好きになれない。小鹿くんは私とつきあってくれない。私も高山くんもしあわせになれない」

「高山くんはまだ寿限無さんを好きみたいだよ。彼とつきあうわけにはいかないの?」

「無理……。あの人とキスしたいとは思えない。からだを触れ合わせたいと思える人じゃなければ、つきあうのは無理」


 太陽が空を赤く染めながら沈んでいこうとしていた。

 夕闇が辺りをつつみ始めた。公園内のひとけがなくなっている。池の表面は光を失い、樹々は黒々とした影のようになっていった。


「どうしても私とは遊んでくれないの?」

「うん……」

「こうなったら実力行使しかないか」


 突然寿限無さんが両手で僕の頬をつかみ、顔を近づけてきた。

 拒む間もなく、電撃的に僕は唇を奪われた。

 彼女はさらに舌を入れてこようとした。

 僕は強く口を閉じて拒んだ。

 彼女の両肩をつかんで押しやった。


「キスの先のこともしようよ。私をここで押し倒していいよ。それとも私があなたを押し倒そうかな」

 過激なことを言う。僕はもう寿限無さんと一緒にいたくなかった。ベンチから立ちあがり、彼女と距離を取った。


「僕は帰る」

「ねえ、私が小鹿くんを好きなことは忘れないで。私はずっとあなたを好きでいる」

「迷惑だよ」

「きらりと別れたら私のことを思い出して」

「別れないよ」

「そんなの無理よ。いつかは別れる。意外とすぐに別れるかもしれない。高校生のカップルは長つづきしないのよ」

 寿限無さんまでそんなことを言った。

「ちょっとしたことでけんかしたり、性格の不一致に気づいたり、一方が別の人を好きになったりする。別れるきっかけはそこかしこに転がっているわ」

「僕は長つづきさせるよう努力するよ」

「努力? 努力って、苦労ってことよね。恋は苦労してつづけるようなものじゃないでしょう?」

「努力と苦労はちがうと思う。楽しい努力だってある。それに僕は多少苦労したとしても、きらりさんとつきあいつづけたい。彼女と愛し合いたいんだ」


 恋と愛はやはり少し異なる。

 恋は永続しないものだろう。でも愛は死ぬまでつづくかもしれない。

 そういう可能性はゼロではないと思う。


「とにかく私は待ってるから! もしあなたがきらりとうまくいかなくなったら、私のところへ来て」

「待たなくていい」

 これ以上寿限無さんの言葉をひと言も聞きたくなかった。

 僕は走って公園から出た。

 確かに恋は残酷だ。

 僕はきらりさんと別れるつもりはないが、もし別れたとしても、けっして寿限無さんのもとへは行かないだろう。

 彼女が座っているベンチは完全に闇につつまれた。

 僕は街路灯が明るく光る線路沿いの道を駅に向かって走りつづけた。

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