21話 ぼっち飯
その日の夜、俺は二人にしてしまった愚行に悶えた。
冷静になればなるほど物事を客観的に捉えられるもので、怒りに任せた自分の行いがどれほど幼稚で恥ずかしいものだったかを痛感する。二人には本当に申し訳ないことをしたと忸怩たる思いで一杯だった。
ただ、白鳥の件に関しては半分本音でもあった。着々と確実に目減りしていく白鳥のLPに焦りは感じているが、白鳥が心を開いてくれない限りどうしようもない。
そして俺には何も打つ手がなく、万策尽きている。だったら、俺が白鳥と仲良くなるのは諦めて、杏奈と涼介にその役を担ってもらった方が、事が運びやすいのではと、そう考えていた。
でも、どうでもいいとは思っていなかった。第一自分が言い出したことであり、一人の女子高生の命が掛かっているのだ。どうにか彼女を攻略する糸口を見つけなければ……。
二人に対する後悔と対白鳥の策略がぐるぐると俺の頭を掻き回し、結局この日は全く勉強が捗らなかった。
翌朝、俺は二人に謝罪する決意をして登校した。
教室に入ると既に二人は来ていて、それぞれ友達と談笑していた。
二人を見て一気に緊張感が高まり、決意が鈍る。
とりあえず俺も自席に座り、しばらく二人の様子を窺いながら鈍った決意を取り戻すことにした。
二人とも特に変わった様子は見受けられないまま、午前中の授業が終わった。
昼休み、昼食の時間だ。いつもは三人で屋上に上がって過ごしている。
涼介が弁当を持って杏奈の元へ向かい、二人で何かを話している。
途中、杏奈がチラッとこちらを見た。俺は二人を見ていたので、当然目が合う。
しかし、杏奈はすぐに目を逸らした。その後二人は二言三言交わした後、俺を置いて教室を出ていった。
当然の結果だった。二人を傷付けておきながら、何事もなかったように三人で過ごせるはずがない。
この結果を想定はしていたが、実際に起こると案外心にくるもので、俺はすっかり決意を喪失してしまった。
高校生活で初めての独り飯。母が作ってくれたいつもの弁当、いつもの味、変わらず美味い。
なのに、何か物足りなさを感じた。
空になった弁当を片付け、教室前方の壁に掛かった時計を見る。
まだ時間は十分も経っておらず、昼休みの時間はたっぷり余っていた。
ただ、時間はあっても独りでは何もすることがない。
俺は机に突っ伏して、余計なことを考えないよう静かに目を閉じた。




