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探偵は女子高生と共にやって来る・シン  作者: 飛鳥 進
第二話-長屋
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長屋-4

 燐から話を聞いた絢巡査長は、警視庁のデータベースで該当の事件資料を検索する。

「変な事件だよねぇ~」長四郎は一川警部が座っているであろう回転椅子に座り、クルクルと回しながらそう言った。

「そうですねぇ~」絢巡査長はノートパソコンのモニターを凝視しながら、長四郎の言葉に反応する。

「でも、本人がそっくりっていうぐらいなんだから、一太郎君の家族なのかなぁ~」

 燐は眉間に人差し指を当て、悩まし気な顔をする。

「そだねぇ~」

 長四郎は気のない返事をする。

「そだねぇ~ じゃなくてさ。絢さん、何か分かりましたか?」

「この事件ね」絢巡査長はモニターにノートパソコンの画面の映像を映し出す。

 現時点での事件情報が映し出される。

 事件発生場所は北区にある北運動公園。被害者の身元は未だに不明。死因は、スズメバチの毒によるアナフィラキシーショック。被害者の首に注射痕のような痕があり。

 これだけの薄い情報だけしか映っていなかった。

「あーこれは、スズメバチに刺されて死んだっていうだけの事件じゃね? 只、家族が探していないっていうだけで」

 長四郎は楽観的な答えを導き出す。

「あんた、調べる気ないでしょ」

 燐の問いに長四郎は元気よく「うん!」と答える。

「マジ最低っ! 依頼した意味ないじゃん」

「最初からそう言っているじゃない。でも、気になる事が一つ。被害者とその万太郎君? だっけ? その万太郎君とこの被害者の人と似てるの?」

「あっ、そうだった」

 燐はモニターに映る被害者の顔をマジマジと見て「めっちゃ、似てる。瓜二つ」そう言った。

「へぇーそんなに似てるんだ。その万太郎君に」

「万太郎じゃなくて一太郎ね」

「そうそう。一太郎」

「ラモちゃん、その一太郎君って子の写真ある?」

「絢さんまで、ラモちゃんって呼ばないでください」

「え! てっきり、そう言うニックネームかとごめんね」

「絢ちゃんも気にしないで呼んで上げて。ラモちゃぁ~んって」

「ふんっ!!」

 燐は長四郎の鳩尾にストレートパンチを決め込み、長四郎はその場に崩れ落ちる。

「写真でしたね。そう言うと思って、撮影してきました」

 燐は絢巡査長に一太郎の顔写真を見せる。

「えっ! 噓でしょ!!!」

 絢巡査長も思わず、被害者が映るモニターと燐が手に持つ一太郎が映るスマホを二往復、三往復と見返していく。

「何? そんなに似てるの?」

 長四郎は一太郎の写真を見る。

「マジでか!!」

 目から鼻、そして口元までドッペルゲンガ―と言っても過言ではないくらい似ていた。

「只今、戻りましたぁ~」一川警部が部屋に帰ってきた。

「あ、長さん。あたしになんの用があると?」

 そんな言葉を無視するように長四郎と絢巡査長は口をあんぐりと開け、燐のスマホを凝視していた。

「なん見ようと?」一川警部もまた燐のスマホを見る。

「ああ、こん人の捜査やったら、内の命捜班で行うことになったから。手伝って」

「ああ、はい」

 一川警部の要請に思わず返事する長四郎。すかさず、燐はチャンスと言わんばかりの顔になる。

「了承したわね。じゃ、早速捜査開始ね」

 燐は勝ち誇ったような顔で宣言するのであった。

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