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探偵は女子高生と共にやって来る・シン  作者: 飛鳥 進
第二話-長屋
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長屋-3

「ということがあったの」

 燐はひとしきりの説明を終え、長四郎がまだ口につけていないアイスコーヒーを飲む。

「なんじゃ、その粗忽長屋みたいな話は・・・・・・」

「何それ?」

「落語だよ。落語」

「あ、そ」

「それで、俺にその死体の正体を調べろって訳? だったら、他を当たりな。俺は浮気調査を得意とする探偵だ・か・ら」

 長四郎はそう言って席を立とうとすると燐がこう言った。

「高校生探偵の熱海長四郎。ネットで出てきたよ。あんたの正体を知りたいと思って調べてみたら、十年前にえらく活躍したそうじゃない。名探偵さん」

 燐は嫌味ったらしく言ったのだが、長四郎の反応は嫌味を受け取った人間の反応ではなくお化けでも見た時のような反応を示していた。

「何よ。その反応は」

「い、いや、もしかして、ストーカーの気質でもあるんじゃないかなと思ってさ」

「そんなものあるわけではないでしょ」

 燐はそう言い放ち、長四郎の耳を引っ張っりながら、店を出て行くのであった。

 こうして、燐は長四郎を連れて警視庁へと向かった。

 半蔵門線に乗り永田町で有楽町線に乗換、警視庁の最寄り駅桜田門駅で下車した二人。

 その足で警視庁に赴き、捜査一課命捜班班長の一川(ひとつかわ)警部を訪ねるのであった。

 長四郎が受付の警官に一川警部にアポイントメントがあると伝え、あっさりと警視庁の中へと入ることができた。

「変わっているような変わっていないような・・・・・・」

 廊下を歩きながら長四郎はそう呟いた。

「通い慣れた人間の言う事は違うね」

「人を犯罪者みたいに言うなよな」

「そんなつもりで言っていた訳じゃないんだけど!」

 燐は肘で長四郎を小突く。

「あの、熱海長四郎さんですよね?」

 背後からそう声を掛けられたので、振り向くとスラリとしたモデルになれば間違いなく売れっ子であろう体型の女性が立っていた。

「そうすけど。貴方は?」

「申し遅れました。私、命捜班の(あや)と申します。一川さんから案内を任せられて来ました」

 自分の名刺を渡す絢巡査長に「それは、ご丁寧にどうも」と答え、会釈する長四郎、それに燐も続いて会釈する。

「では、こちらに」

 絢巡査長は、二人をエレベーターへと案内し、最上階にある部屋へと向かう。

「あの」

「はい、何でしょう」燐に声を掛けられて絢巡査長は用件を尋ねる。

「絢さんは、最近、配属されたんですか?」

「そうです。私、幹部候補生なんで」

「幹部候補生。ですか・・・・・・」

 自分で言うんだと燐は思いながら、絢巡査長の話に耳を傾ける。

「でも、命捜班って特別なセクションだと思われがちですけど、警視庁内では窓際部署みたいな扱いなんですよね」

「そうなんですね」

 どう反応するのが正解なのか分からず、燐が困り果てていると、長四郎がこう言った。

「手柄あげりゃあ良いんだよ。手柄あげりゃあ。あのハゲだって今のポジションに付いているのは俺のおかげだからね」

「自分で言うな」再び、燐に小突かれる長四郎。

「さ、着きましたよ」

 最上階に着き部屋へと案内する絢巡査長に続く長四郎と燐。

「失礼しまぁ~す」

 燐が先陣を切って部屋に入ると、二十畳程の部屋の広さで机が二つ、何も入っていない本棚が数多くあった。正に窓際部署という言葉が相応しい部屋であった。

「それで、御用と言うのは?」

「一川さんは?」姿が見えない一川警部の所在を尋ねる長四郎。

「ああ、今、席外しています。それで、御用件は?」

「ラモちゃん、説明して差し上げて」

「はぁ~い」

 燐は絢巡査長に事件のあらましを説明するのであった。

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