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探偵は女子高生と共にやって来る・シン  作者: 飛鳥 進
第二話-長屋
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長屋-2

 それから夏の補習授業を受け、昼食がてら重則と一太郎の話を聞くことになった。

「で、測理君が死んでいたって?」

 大盛りご飯を口に頬張りながら、燐はそう尋ねる。

「ああ、そうなんだ。それが起きたのは、一昨日の事だった」

 重則は遠い目をしながら、その日の事を語り始めた。

 部活帰り、一太郎と別れた重則はいつも通り通学路途中の公園を歩いていた。

 すると、目の前に倒れている人の足が見えた。重則は何か起きたと思い、慌てて倒れている人に近づく。

「大丈夫ですか!」

 重則がそう声を掛けると、相手からの反応はない。重則は慌ててスマホを取り出して救急車を呼ぶ。救急車が到着するまでの間、電話の向こうに居る消防隊員からの質問に答えていく重則。倒れている人物が息をしていない事を伝えると救急隊員は警察に通報すると言い、そして、重則に心肺蘇生のレクチャーをする。

 だが、その人物の心臓が動き出すことはなく、救急隊員から「では、救急車と警察が到着するまで待っていてください」と指示を受ける。

 重則は救急車が来るまでの間、倒れている人に声を掛け続ける。

 倒れているのは、自分とそう年が変わらないであろう感じの男であった。

「あれ?」

 男の顔はマジマジと見つめると、一太郎にそっくりであった。

「一太郎? 一太郎!!」

 男に一生懸命に声を掛けるのだが、反応はない。

 そんな中、警察と救急車が同時に到着し、警察に事情聴取を受ける重則は男の身元を尋ねられる。

 そこで重則は「友達の測理一太郎です」と答え、さらに「あいつの家近いので、呼んできます!!」警察官の制止も聞かずに一太郎の家に向けて走って向かった。

 一太郎の家のインターホンを何度も鳴らす。

「出ろよぉ~」更にインターホンのボタンを連打する重則。

 すると、玄関のドアが開く。

「ピンポン、ピンポンうるさいよ!!」そう言いながら、一太郎が姿を現した。

「一太郎。お前、公園で死んでいるぞ!!」

「えっ、噓だろ!!!」

「噓じゃないって! 一緒に来いよ!!!」

「お、おう!!」

 玄関の鍵を閉めるのも忘れて重則に付いて行く一太郎。

「お巡りさん!! 連れてきました!!!」

 重則はそう言って、一太郎を見せる。

「え!」

 警官もまた倒れていた男に瓜二つな一太郎の姿を見て驚く。

「俺が死んでいるって聞いて来たんですけど!!」

 血相を掻いた顔で一太郎は警官に尋ねる。

「ああ。いや、違う。違う。君じゃないから、落ちついて」

「いやでも、重則がっ!!」

「そうですよ! あの死体は一太郎ですって」

「君ねぇ~」

 あまりにも唐突過ぎて、警官もどう対処してよいものかと困り果てるのだった。

「それで、その男の身元は分からずじまい?」燐の問いに「そうそう」と答える重則。

「言っとくけど、ウソじゃないからな」

 一太郎はそう燐に告げると、ラーメンを啜る。

「面白い話ね。いっちょ私に任せてくれない? そういう謎を解決できる人物に心当たりがあるからさ」

 燐は二人にそう言うと、唐揚げを口に入れた。

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