表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪女は、不幸系推しの笑顔が見たい ~よって、幸せシナリオに改変します! ※ただし、所持金はゼロで身分証なしスタートとする。~【完結・ありがとうございました!】  作者: つこさん。
   領境の街・リッカー=ポルカ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/248

74話 ハニトラは専門外なんですけど

 ということで、平日です。お仕事です。じゃっかん気が重いながらも、車掌のお務め、がんばります!

 朝の便では、サルちゃんが土建バイトの現場へ行くのに乗ってくれました。ありがたや。そして「ソナコちゃん、いつならじっくり話せる?」と聞かれたので「職務中ですので私的なお話しはいたしません!」で切り抜けました。はい。

 お昼の便は、だれも乗車されなかったです。二十メートルくらい先で、観察している姿は見かけるんですけどね。

 夕方の便。サルちゃんがもう一度、今度は土建仲間さん二人を連れて。「うちで飲もうって話になってね」と。ありがたや。お一人は一度蒸気バスに乗ったことがあるらしくて、おっかなびっくりのもう一人の方にちょっとマウントとりながら励ましていました。

 で、一日はさんでまた車掌。旅籠女将のベリテさんが朝の便で「お買い物いくわ!」といそいそと乗ってくださいました。領境警備隊基地へ納品した帰りの食料品輸送車が来る日みたいです。ベリテさんも後で行くっておっしゃってたので、たぶんずいぶん早いと思うんですけど。乗りたかったんですね、蒸気バス。


「そういえば、前から思ってたんだけど、蒸気バスのお代はどうすればいいのかしら?」

「はい! 通常は降車時に五十ラリをいただきますが、今はプレ走行中なので、期間限定でいただいていませーん!」


 中央広場前で降りたとき、ベリテさんがみんなに聴こえるように大きな声で聞いてくれました。わたしもノリッノリで答えました。ナイスアシスト、ベリテさん‼

 お買い物待機していた幾人かの女性が、「あら、無料?」みたいな顔でこちらをご覧になりました。よしっ!

 お昼の便では、ちょっと興味をひかれたらしい男性がバス停のところに立っていらして、「今なら無料ですけど、乗ってみませんかー?」とお声がけしたら、乗ってくださいました。やったー!!!


「なんか、近所のじいさんが乗ってるの見たって、人から聞いて……」


 コラリーさんのお客さんおじいちゃんでしょうか。はい。ぜんぜんしゃべってませんでしたけど、けっこうたのしそうに乗っていらっしゃいました。


「あんなじいさんが乗れるなら、おれだってさ……」


 びっくびくされていましたけど、バス停三つ分乗車されて満足したのか、下車されました。「また、乗るわ」とのこと。うれしいいいいいいいい。

 夕方の便は、サルちゃんの土建仲間さんが。「疲れたあと帰るのに、これ楽だねえ」としみじみと。さあ、リピーターになりたまえ!

 で、また日にちをまたいで、蒸気バスが走る三日目。

 朝から、雪がちらついていました。雪。来ました、雪! 横なぎには程遠いけど、雪! この日、朝の便に乗られたのは、赤毛丸顔のマダムでした。ご主人を引っ張って。


「あたしがいないと、やっぱりだめなんだってさー! しかたがないから帰ってやるのよ!」


 かわいい服と、蒸気バス乗車! 両方勝ち取っての凱旋帰宅です! おめでとうございます!!!

 あとのお二人はどうされているのでしょうか。お尋ねしたかったけど、ご主人がいらっしゃる手前、聞けませんでした。それを察してか、降車の際に「あとの二人は、まだコリちゃんとこ」と耳打ちしてくださいました。……そっかあ。

 行ってみていいでしょうか。おじゃまになるでしょうか。すごく気になって、夕方の便が終わったら、ちょっと覗きに行ってみることにしました。

 お昼には、「無料だって聞いたんだけんど」とおっしゃるおじいちゃんおばあちゃんが五名もいらっしゃいました! びっくり! 「なんか、メゾン・デ・デュの大女将さんが、すんごい便利だって言うからさ」と。ベリテさん、最高です‼

 なんでも、ベリテさんとはハルハル仲間なんだとか。ハルハルってあれです、カヤお嬢様と四並べをしたトランプもどきです。お話伺うと、ボケ防止のためのクラブ活動みたいな感じ。メゾン・デ・デュのお部屋を借りて定期的にみんなでやってるんだそうです。ぐるっと市内一周して、みなさん降車されました。「なんともなかったなあ」「馬車よりいいべさー」と感想を言い合いながら、手を振って見送ってくれました。うれしいよう……。

 夕方は、サルちゃんと、土建仲間さん。降りる場所はそれぞれのお家の近くのバス停ですけど、サルちゃんはなぜか降りるときににっこり笑って行きました。なにそれ怖い。

 で、今週のお仕事、終了! ノエミさんには「気になるので行ってきます!」とお昼の時点で宣言しています。ので、「これ持っていきなよー」と、野菜の詰め合わせの袋を持たせてくれました。やさしい……ありがとう……。

 で、行ってみたんです。


「いらっしゃーい」


 満面の笑みでサルちゃんが迎えてくれました。しまった! 罠だったか⁉ どこだ⁉ どこから罠だった⁉


「リっちゃんが帰ったからねえ。気になって来るかなって思ってさ」

「えっ」


 赤髪マダムリっちゃんさんが帰宅されたのは今朝です。なぜ、サルちゃんはご存じなのか。と思ったことがバレたのか、「田舎の情報の速さ、なめちゃいかんよ」とにっこりされました。

 で、ボックス席にはいつものおじいちゃん。マダムたちは、お店にいらっしゃいませんでした。二階かな。お顔見たいな。わたしは問答無用でカウンターのサルちゃんの隣りの席でした。はい。コラリーさんはすっとオレンジジュースを出してくれました。さっすがママさん。


「はいじゃあ、ソナコちゃん。いい感じに時間取れたし、いっぱいお話ししよっか?」


 怖いですねー。ちょうこわい。なに話せっていうんでしょうか。「いやあ、雪降りましたねえ、雪!」と時事問題を取り上げてみました。「そうだねえ。この時期だし、週末には吹雪くかもねえ」とのこと。まじか。――では、わたしのやることはひとつ!

 サルちゃんの権力で、吹雪の日に領境警備隊員全員へ外出禁止令出してもらうようおねだりしましょう!


あすの更新分がとても表現が難しく、改稿に時間がかかっています

もしいつも通り7時に上げられなかったらごめんなさい

その場合は20日の7時に上げられるようにがんばります

【17:00追記】

申し訳ありません、次の更新を26日(月)7時とさせてください

がんばって書きます




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物イメージ一覧(イメージを損なうおそれがあるため、自己責任でご覧ください)

感想ほしいよっ かいてっ><
(画像クリックで別タブで『Web拍手』に飛びます)
(ログインなし、匿名で書き込めます)
拍手ボタン

お返事はこちらです↓
感想おきば



2cyY2Y script?guid=onscript?guid=on
― 新着の感想 ―
[良い点] ちょっとずつ、ちょっとずつ蒸気バスの理解者が増えてる。 なんだかジーンとします。
[一言] 嵐の前の静けさ的な?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ