50話 生活基盤、セット完了!
再開ー! またよろしくー!
「うっっっっっっっま!」
レテソル最高ですね。あったかくておいしくて人々が若干ウェイで。若干なら愛せます。はい。
でっかいショッピングモールみたいのがあったんですけど、さすがにそこでのお買い物は後日に、ということになりました。さすがに。来たばっかりで荷解きもしていない状態ですし。必要ないものまで買っちゃいそうですし。疲れてますし!
食べているのはレテソル料理です。メインは白身魚のオーブン焼きみたいの。レモンソースじゃなくて早摘みのオレンジソースが主流なんだそうです。なんにせよ、んまい。最高。レテソル最高。
荷解きやこまごまとした手続き(長期滞在の申請をしなければならないそうです)が終わったら、こちらの交通局に行こうと思います。こちらでは冬季でもカチカチ仕事があるとのこと。ちょっとしたリゾートバイトをしようというわけですね。リゾバ。いいですね! 中央からもう話は通してくださっています。「推薦状送っておくよ!」とにっこにこ顔でトゥーサン・セールさんがおっしゃっていました。一安心ですね。
そうこうしていたら、わたしたちを追いかけてきたかのようにルミエラから手紙が届きました。わたし宛で。差出人は『ユーグ・バルテレミー』とあります。なんと! 最初に住んだ物件の一階雑貨屋さん男性店員のユーグさんでした!
ルミエラのお家に届けたのが、転送されてきたみたいです。いちおうそういう手続きしてきたので。なんだかうれしいですね。手紙書くって言ってくれたの、本当だったみたいです。
内容は近況報告と、わたしのことを案じてくださる言葉でした。やさしい。二階の部屋はしばらく前に両方空室となって、とてもさみしいと書かれていました。アベルとはそんなに仲良くなかったと思ってましたけど、そうでもなかったみたいです。
さっそくお返事を書きました。お手紙ありがとう、わたしは今レテソルに居ます。とても元気です。お手紙くださってうれしい。またお手紙くださるときは、ルミエラのお家宛に出してください(そうしたら転送されて、ルミエラからレテソルまでの送料はこちらに請求されるので)。他にもいろいろ書きました。主にレアさんとアシモフたんのこと。あと、ファピーの冬季リーグたのしみっていうこと。
文通相手が三人になりました。ユーグさん、ミュラさん、それに、オリヴィエ様。それなりにゆったりと、でもちょっとだけ忙しく生活できそうです。「文通! あたしには無理だわ!」とレアさんが信じられないものを見るような目で両手を上げました。そうですね、レアさん筆まめには見えません。オリヴィエ様とミュラさんにも、よさげな絵葉書を探して『到着しました』ってお知らせしようと思います。なにがいいかな。どんなのあるかな。
ここに来た真の目的はバカンスではないですけども。たのしむのは悪いことではないと思うので! 心身の健康のためにもいいことなので! こちらではこちらの生活を満喫しようと思います。
アシモフたんに新しいお友だちもできました。テラスとお庭を挟んでお隣りのお家の、シュナウザーっぽい見た目の中型犬です。ポールくん。群馬いたときによく近所をお散歩していた子にそっくり。あの子は元気かなー。
それと。お知らせがあります。荷解きをしたんです。はい。あらかた終わったなーと思ってリビングに行ったんです。はい。そしたらですね。
――モアイこけしが飾られていたんです。リビングのサイドチェストに。
「――レアさん……持ってきたん、ですか?」
ヤツを見つめながら尋ねると、「えー? キッチン用品の中に入ってたよー。ソノコが入れたんじゃないの?」とのこと。んなわけありますかいな。とりあえずアシモフたんが箱に紛れ込ませたんだろう、ということで話は落ち着きました。はい。もー、アシモフたんったら、おちゃめー。
ご近所数件へのご挨拶も済みました。わたしひとりでご挨拶行ったんですけど。なんか月二くらいでお庭でバーベキューとかしてそうな若干ウェイのいい人たちばかりでした。今度ごはん食べにおいでねーって言ってくれましたけど、たぶんレアさんが嫌がるだろうなー。
そして満を持して交通局へ行ってきます。レアさんには「こっちに来てまで仕事するとか、なんかソノコらしいわね」と笑われました。そうでしょうか。単発の良さげなのがあるといいんですけどね。事務所に入って受付の女性にご挨拶すると、上から下まで見られました。どこ行ってもだいたい初対面の方の反応は同じですね。中に通されてパーテーションで区切られた応接セットの椅子で待っていたら、「はーい、はじめましてソノコ。待ってたよ~」と年中完璧な波を追いかけて海にいそうな男性がやってきて向かい側に座りました。ロランス・デフォルジュさんとおっしゃるそうです。お名刺いただきました。わたしも名刺くれって言われたんですけどバイト身分なのでありませんので。「あれっ、社員なったんじゃないの?」と言われたんですが、なってたらこんな風におおっぴらにバケーションできませんね!
わたしができそうなお仕事一覧をいただきました! せっかくなのでイベント計測したいですね。バケーションなので! と思ったら、あるじゃないですかファピー関連カチカチ! 来てよかったレテソル!
冬季リーグはもちろん冬季中ずっとあるので、カチカチも定期的にあるのです。しかも交通局員シートも福利厚生であるそうです。空きがあったらチケット回してくださるとのこと! 最高ですね。来てよかったレテソル! まずは今週末にやるオープン戦のカチカチ予約しました! チケットも二枚くださるそうです! やった!
お家にお仕事一覧を持って帰って、今後どうするかしっかり考えたいと思います。はい。
交通局を出たら、なんかかっこいい丸みを帯びた顔でホワイトゴールドの蒸気自動車にクラクションを鳴らされました。レアさんです。買ったんでしょうか車。アシモフたんはいません。
「――さあ、ソノコ! 行くわよ、お買い物!」
ですよねー、そうなりますよねー。
見て! 章分けしたの!!!
かっこよくない? なんかちょう小説っぽくない?






